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2025年医療DXに備える

2024.12.25

 

2024年の医療DX政策は、6月の診療報酬改定に始まり、12月には健康保険証の新規発行が廃止され、3種類の資格確認に変更されました。波乱の2024年となりましたが、2025年の医療DX政策はどんな変化があるか解説します。

 

【目次】

  1. 医療DXの推進に関する工程表(2025年度)
  2. マイナ保険証利用率の算定方法の変更(2月)
  3. 電子処方箋の経過措置期限(3月)
  4. 電子カルテ情報共有サービスの経過措置期限(9月)
  5. かかりつけ医機能報告制度(11月)
  6. 医療DXに係る補助金情報

 


1.医療DXの推進に関する工程表(2025年度)

2023年62日に公表した「医療DXの推進に関する工程表」によると、2025年度に実施予定の項目として、電子処方箋のおおむね普及、電子カルテ情報共有サービスの開始、標準型電子カルテのモデル事業、算定モジュール(標準型レセコン)の開発などが盛り込まれています。

政府は最終目標として「全国医療情報プラットフォーム」の構築に向けて、オンライン資格確認システムのネットワークを拡充し、電子カルテ等の医療機関等が発生源となる医療情報について、クラウド間連携を実現し、自治体や介護事業者等間を含め、必要なときに必要な情報を共有・交換できる全国的なプラットフォームをイメージしています。

 

2.マイナ保険証利用率の算定方法の変更(2月)

医療DX推進体制整備加算は当初の予告通り、10月からマイナ保険証の利用率に応じて、3段階に区分されました。

2025年2月からはマイナ保険証の利用率の計算方法が変更されます。計算方法は「レセプト件数ベース=マイナ保険証の利用者数の合計÷レセプト枚数」と「オンライン資格確認件数ベース=マイナ保険証の利用者数の合計÷オンライン資格確認等システムの利用件数」がありますが、2月からはレセプト件数ベースを用いることになります。この変更によって利用率が低くなるケースが生じますので、いまのうちからレセプト件数ベースの利用率も確認しておく必要があります。

また、2925年4月以降のマイナ保険証利用率の実績要件は、中医協の附帯意見を踏まえ、再検討し再設定を行うとしています。

 

3.電子処方箋の経過措置期限(3月)

医療DX推進体制整備加算において「電子処方箋を発行する体制を有していること」が施設基準で定められています。経過措置としては、2025331日とされており、それまでに準備を進める必要があります。

しかしながら、電子処方箋の普及率は202411月現在、全体で19.6%、そのうち病院が3.0%、医科診療所が7.6%、歯科診療所が1.0%、薬局が57.1%となっており、導入がなかなか進まない状況となっています。このままの普及の推移を続けるならば、経過措置期限の延長が行われる可能性もあると考えられます。

 

4.電子カルテ情報共有サービスの経過措置期限(9月)

2025年4月に開始予定の電子カルテ情報共有サービスについては、医療DX推進体制整備加算において「電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有していること」が施設基準で定められています。経過措置としては、2025930日とされており、それまでに準備を進める必要があります。

同サービスについてはまだ開始もされておらず、補助金についても病院のみとなっており、今後、診療所にも補助金が設けられるかも明らかになっていません。こちらも電子処方箋と同様に、経過措置期限の延長が行われる可能性があると考えられます。


5.かかりつけ医機能報告制度(11月)

かかりつけ医機能報告制度とは、医療機関から都道府県知事に対し、地域住民を支えるために有しているかかりつけ医機能について、定期的に報告する制度です。

報告内容は、1号機能と2号機能の2段階から構成されています。「1号機能」は、発生頻度が高い疾患に係る診療や日常的な診療を統合的かつ継続的に行うための機能についてで、特定機能病院・歯科医療機関を除く病院・診療所に報告が求められます。報告項目は、「1次診療の対応可能な診療領域や疾患」「かかりつけ医機能に関する研修修了者・総合診療専門医の有無」などです。次に、1号機能があると確認できた医療機関には、2号機能の報告が求められます。具体的な報告内容は、時間外対応、入退院支援、在宅医療、介護連携などとなります。

2025年4月から施行され、第1回目の報告は202511月ごろを予定しています。都道府県知事は報告内容をもとに医療機関からの報告内容をネット検索できるシステムなどで公表し、患者に適切な受診先の選択を促そうとする試みです。

6.医療DXに係る補助金情報

政府の医療DX政策は、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービス、地方単独公費および医療扶助のオンライン資格確認等について、導入にかかる費用を補助する制度が設けられています。以下に補助金の情報をまとめましたので参考にしてください。

 

対象

管轄

締切期限

電子処方箋

病院・診療所・薬局

社会保険診療報酬支払基金

2025年331日までに完了させ、2025930日までに申請

電子カルテ情報共有サービス

病院

社会保険診療報酬支払基金

2031年331日までに完了させ、2031930日までに申請

公費・地方単独公費のオンライン資格確認

病院・診療所・薬局

デジタル庁

2025年1月15日まで

マイナ診察券

病院・診療所・薬局

デジタル庁

2025年1月15日まで

顔認証付きカードリーダーの増設支援

病院・診療所・薬局

社会保険診療報酬支払基金

2025年21日まで

医療扶助(生保)のオンライン資格確認

病院・診療所・薬局

社会保険診療報酬支払基金

期限未定

※電子処方箋については、都道府県の補助金もありますので、各自治体のホームページもご確認ください。

 

◇補助金に関する参考サイト

医療機関等向け総合ポータルサイト
デジタル庁(自治体・医療機関等をつなぐ情報連携システム:PMH

 

 EM  

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筆者:株式会社EMシステムズ EM-AVALON事務局

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