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効果的なクレーム対応

2025.02.21

 

今日の記事は、『効果的なクレーム対応』です。クレーム対応と聞くだけで、背筋が凍りそうな気持なりますが、対象方法によって満足度を高めたり、信頼を築くために非常に重要な位置づけになってきます。適切に対応することで、患者さんの不満を解消し、ビジネスチャンスを生み出すヒントになると思います。

このコラムをお勧めしたい人
クレームの正体とクレームへの正しい対処を知りたい人

 

【目次】

  1. クレームは患者さんの声
  2. クレームとの向き合い方
  3. クレーム対応のテクニック

 


1.クレームは患者さんの声

クレーム対応と聞くと逃げたくなる気持ちになるのが普通だと思います。私も気持ちが下がります。しかし、そんな『クレームの正体』は、患者さんの声なのです。患者さんは、サービスを受けた上でお金を支払いますが、対価として適切でないからクレームを言います。また適切か、否かは患者さんの価値観で決まるため、色々なクレームが出てきます。サービスの質が悪い会社側に原因があるものもあれば、患者さんの価値観が独特で屁理屈の場合もあります。一つだけ言えるのは、患者さんの声ですから100%クレームが無いということあり得ませんから、クレームがないことを喜んではいけません。

経営のワンポイント
クレームは、患者さんの声ですから組織としてクレーム撲滅運動をしてはいけません。
患者さんの声が消えることはありませんから、クレーム撲滅運動をすること自体がズレています。クレームには真摯に向き合うことが必須です。

 

2.クレームとの向き合い方

クレームが発生した場合、おおよその事は組織にとってネガティブなことです。そのため、クレーム対応がめんどくさい、したくないことと捉えられやすいです。しかし、患者さんの声である以上、対応していかなければ会社の発展はありません。特に、身体的弱者にならなければわからない悩みを患者さんはお持ちですから、貴重な声になりやすいのではないでしょうか。

経営のワンポイント
①    クレーム発生が分かる仕組みを作る
クレームが発生した場合に、上司が叱ったり怒ると、部下は報告したくなくなります。ですから、決裁権者はクレームの報告に対して、処罰をしてはいけません。クレームを報告すると処罰があると思うと、『クレームの隠蔽』が始まります。隠蔽されると幹部にクレームが入ってこない組織になりますから、衰退する会社になります。ですから、組織としては、クレーム隠蔽をする人を処罰する仕組みにしましょう。前半にクレームがないことを喜んではいけないとかきましたが、クレームがない時は、隠蔽されていて危険な場合が濃厚ですのでご注意ください。

 

②    クレーム対応は一次対応と二次対応
クレームが起こり、自社に非がある場合は、優先順位をあげて対応しましょう。相手は怒っているので、あなた達の行動をしっかりと見ています。

一次対応

『代表者や幹部クラスの責任者』が患者さんに不快な思いをさせた気持ちに寄り添い対応して行うことがポイントです。

患者さん側は、会社や店舗の責任者クラスが出る方が、収まりやすくなります。また、部下からも頼りになる上司として信頼も獲得できます。

二次対応

『再発防止策』を決めます。クレームが起こった事実を幹部クラスで共有し、再発防止策を講じます。できることなら、マニュアルの書き換えまで行い、再発防止に努めます。

 

 

3.クレーム対応のテクニック

1. 傾聴と共感

患者さんの話をよく聞き、共感することが基本です。患者さんが感じている問題や不満に対して真剣に耳を傾け、理解を示すことで、患者さんは自分の声が届いていると感じます。

具体的なアクション

  •   患者さんの話を遮らず、最後まで聞く
  •   適切なタイミングでうなずきやあいづちを打つ
  •   「ご不便をおかけして申し訳ございません」のような共感の言葉を使う

2. 迅速な対応

クレームを受けたら、速やかに対応することが重要です。問題を早期に解決することで、患者さんの不満を最小限に抑えることができます。

具体的なアクション

  •   クレームを受けたらすぐに対応を開始する
  •   患者さんに対応の進捗状況を随時報告する
  •   解決策が見つからない場合も、短期間での中間報告を行う

3. 適切な解決策の提案

患者さんの問題を解決するために、適切な解決策を提案します。患者さんが納得できる解決策を提供することで、信頼を取り戻すことができます。

具体的なアクション

  •   患者さんの要望を理解し、それに合った解決策を提案する
  •   複数の選択肢を提示することで、患者さんに選択の余地を与える
  •   解決策を実行する際には、迅速かつ丁寧に対応する

4. フォローアップ

クレームが解決した後も、フォローアップを行うことが重要です。患者さんが満足してるかどうかを確認し、さらなる改善点がないかを探ります。

具体的なアクション

  •   クレーム解決後に患者さんに連絡し、満足度を確認する
  •   患者さんからのフィードバックを収集し、今後のサービス改善に役立てる
  •   定期的に患者さんとコミュニケーションを取り、信頼関係を強化する

5. 社内での情報共有と改善

クレーム対応の経験を社内で共有し、同じ問題が再発しないように改善策を講じます。これにより、クレームの発生を未然に防ぐことができます。

具体的なアクション

  •   クレーム対応の事例を社内で共有する
  •   クレームの原因を分析し、改善策を策定する
  •   定期的にクレーム対応のトレーニングを実施する

薬局は患者さんと接する仕事ですから、色々なクレームが起こるでしょう。しかし、どれも患者さん声であり、『クレームは宝の山』として考えるが良いと私は考えます。明日からの業務に是非お役に立ててください。

 

 

 EM  

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筆者:鈴木 素邦 有限会社クラヤ代表取締役  城西大学薬学部非常勤講師
1980年生まれ、千葉県出身。城西大学薬学部卒業と同時に薬剤師免許取得。
薬局薬剤師の経験を経て、専門部署を持てない中小薬局向けのコンサルティング会社を立ち上げ、「お客様の思いをカタチに」をモットーに中小薬局経営者の右腕になれる存在を目指している。特に、ゼロからの地域支援体制加算の算定、BCP作成、個別指導サポートは、1店舗経営からも喜ばれるサポートとして好評。
大手企業向けとしては、マネジメント研修なども手掛ける。
書籍:その1錠が寿命を縮める薬の裏側
YouTube:薬剤師そほうの薬局経営塾(調剤報酬改定など発信)
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