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開業準備スケジュール(5)

2022.01.05

開業スケジュールのうち、今回は「採用」について解説します。クリニック成功のカギは、なんといっても良い人材を集めることです。これはデジタル化が進んだ現在も変わりません。基本的な採用の流れとしては、募集、書類審査、面接、採用通知と進みます。

 

採用(3カ月前)

クリニックのスタッフを募集する際、まずはどんな職種が必要かを考えてみましょう。どの診療科でも必要なスタッフは、看護師、医療事務となります。それ以外の職種は、整形外科であれば放射線技師や運動療法士、柔道整復師、トレーナーなどが必要でしょうし、院内薬局であれば薬剤師が必要になります。内科や産婦人科であれば栄養士も必要となります。募集に際しては、ハローワークや求人サイト、ホームページの求人ページを駆使して募集活動を行うのが一般的です。募集に際して、代行してくれる企業もありますので、そのようなところと相談しても良いでしょう。また、地域の医療事務の専門学校に募集をかけるのも一つの方法です。専門学校には必ず「就職課」がありますので、オープニングスタッフを募集する旨を伝えてみてはいかがでしょうか。

 

他業界から人材獲得するには

現在、コロナ禍の影響で全体として求人が少ない状況が続いています。一方で、医療や介護の分野は慢性的な人手不足という、ミスマッチが発生しています。他業界からクリニックへ人材を引き込むためには、どうすれば良いのでしょうか。

まず、「未経験者歓迎」と医療現場での勤務経験がない方にとってのハードルを下げる必要があります。現在、電子カルテの普及にともない、医療事務の専門性は低くなっており、今後のデジタル化の進展でさらに低くなることが予想されます。その結果、接遇力や対人コミュニケーションスキルを重視する傾向が強くなっています。したがって、未経験の方でも、教育次第で十分戦力になると思われますので、あえて経験者ばかりを集めるのではなく、医療分野の未経験者にも門戸を開いてはどうでしょうか。

他のサービス業に従事していた方は、医療分野では、過去の経験が生きないと考えがちです。医療もサービス業ですから、十分に過去の接客経験が活用できます。一流の接客スキルは、顧客が患者に変わり、使う用語も変わりますが、根底に流れる考え方は変わりませんので、スキルを活かすことが可能です。その結果、さらに良い人材が確保できる可能性があるのです。例えば、元CA(キャビンアテンダント)が、医療介護分野で活躍している事例も出てきています。そこで、他分野での経験を配慮することを募集要項に入れてみてはどうでしょうか。

 

 

医療クラークの募集

最近、クリニックでも「医療クラーク」を採用して、電子カルテの代行入力を行うケースも増えてきました。この際、どうすれば医療クラークの募集を行えるかは工夫が必要です。通常通り、医療事務の募集ではなかなか集まりません。募集職種に、「医療クラーク」や「医療秘書」と表記する必要があります。また、業務内容についても、「電子カルテの代行入力」や「書類作成」を加えることで、それらのスキルを持った方や、興味のある方の応募が増えることにつながります。

 

面接のポイント

「採用面接」について、できればクリニックの理念に沿った方を集めたいところです。面接の際に、クリニックの理念を院長の口からしっかり伝えることは忘れずに行ってください。また、複数人で面接をし、多面的な評価を行うことも大切です。一人ではなかなか見極めが難しく、見落としも発生してしまいます。複数の目で対応することをお勧めします。

面接のポイントとしてはクリニックだからといって特別なわけではありません。礼儀作法(敬語)、コミュニケーション能力、事務処理能力といったところを重視し、さらに人間性についても質疑応答などを通して確認すると良いでしょう。

多くの人数を面接しますので、面接した内容や印象が混ざってしまうこともあります。それを防ぐためにも、あらかじめ面接する際、重視するポイントを決めておき、しっかり数字で評価することが大切です。また、募集が多いときは、SPI(適性検査)や作文、パソコン入力チェックなどを行って、事前に篩(ふるい)にかけているクリニックもあります。

 

採用通知

面接で希望の方が見つかったら、ただちに「採用通知」を送り、内定を出してください。良い人材はどのクリニックでも欲しいはずですから、早い者勝ちになります。くれぐれも少し寝かせてみるといった悠長なことは行わずに、早ければ面接当日の夜にでも、採用通知を送るのが賢明だと思います。その際に、「ぜひあなたに来てほしい」と熱いメッセージを添えることも忘れずに行ってください。