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令和8年度診療報酬改定に向けての議論(在宅その1)NEW
2025.10.03
2025年8月27日に開催された中央社会保険医療協議会の総会で、「在宅」に関してその1シリーズの議論が行われました。この日は現状の確認とそれを踏まえた論点が示されています。
【目次】
1.在宅医療を提供する医療機関等について
在宅患者数は、急激に進む高齢化の影響から、要支援・要介護者の増加が見込まれており、多くの地域で今後増加すると予測されています。また、2040年以降に237の二次医療圏においてピークを迎えることが見込まれています。
在宅療養支援診療所は、第8次医療計画において「在宅医療において積極的役割を担う医療機関」としての役割を果たすことが期待されており、診療報酬上も地域における患者の在宅療養の提供に主たる責任を有するものとされています。
(出典)中央社会保険医療協議会総会(2025.8.27,厚労省)
在宅療養支援診療所数は2023年が1万8906件で前年に比べて減少しています。一方、在宅療養支援病院数は2904件で前年に比べ増加しており、特に連携型の機能強化型在支診・在支病について増加傾向となっています。
2.訪問診療・往診等の実施状況等について
往診料の算定回数は2020年頃から増加傾向にあり、特に都心を中心に伸び率が大きくなっています。新型コロナの感染拡大の影響から夜間の往診ニーズが増加したことが影響しています。
また、往診加算の算定回数についても近年増加傾向でしたが、令和6年度診療報酬改定で往診加算について、かかりつけ以外の患者の加算が減算されたことを受けて、緊急往診加算を除き減少に転じています。
在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料の届出医療機関及び算定化指数は増加傾向にあり、単一建物診療患者の区分ごとの算定回数は、在医総管が「1人」が多く、施設総管は「1人」は少なく、「2~9人」から「50人~」まで幅広く算定されています。令和6年度診療報酬改定で区分が細分化されたことの影響がみられます。
また、訪問診療の実施回数が2回以上の理由については、患者の居住場所が戸建て・マンション・アパート・団地等の場合は、「処置が頻回に必要である等、医学的に必要であると判断したため」が最も多く、有料老人ホームの場合は「施設の職員等が付き添って外来受診をすることが困難であるため」が最も多いとしています。
そのような状況を踏まえて、「質の高い訪問診療・往診等を必要十分な量提供する観点から、訪問診療・往診等に係る診療報酬上の評価」が論点として挙げられています。
3.在宅医療を提供する医療機関等の連携体制の構築について
令和6年度診療報酬改定で、ICTを用いた連携体制の構築を通じて、質の高い在宅医療の提供を推進する観点から「在宅医療情報連携加算」などが新設されました。在宅医療情報連携加算の届出医療機関2343施設のうち1380施設が機能強化型連携型在支診、697施設が機能強化型でない在支診による届出となっています。機能強化型単独型在支診、機能強化型連携型在支診のそれぞれ約33%が在宅医療情報連携加算を届け出ています。
また、第8次医療計画において、「在宅医療において積極的役割を担う医療機関」は在宅医療の提供及び他医療機関の支援を行うことが目標の1つとされており、往診時医療情報連携加算が新設されましたが、算定医療機関数は41施設にとどまっています。
さらに、 ICTを用いて平時から患者情報の共有を行うことで、在宅医療提供機関や、緊急時の入院受け入れ病院及び介護保険施設等との連携体制を構築している事例があり、令和6年度診療報酬改定で医療機関と介護保険施設の実行性のある連携体制の構築を推進する観点から、協力医療機関が往診や入院受入を行う場合の加算が新設されましたが、算定医療機関数は約400施設となっています。
そのような状況を踏まえて、「地域を面で支える在宅医療提供体制の構築を推進する観点から、在宅療養支援診療所・病院のあり方、在宅医療情報連携加算を基礎とするICTを用いた情報連携、協力医療機関による介護保険施設との連携体制等について、診療報酬上の評価」が論点として挙げられています。
4.外来データ等提出加算
令和4年度診療報酬改定では、外来医療、在宅医療、リハビリテーション医療について、データに基づく適切な評価を推進する観点から、生活習慣病管理料、在宅時医学総合管理料、疾患別リハビリテーション料等において、保険医療機関が診療報酬の請求状況、治療管理の状況等の診療の内容に関するデータを継続して厚生労働省に提出している場合の評価が設けられています。
令和6年度診療報酬改定で、生活習慣病管理料、在宅時医学管理料の見直しが行われ、経営的に厳しい環境となっており、そのような状況を受けて、外来データ提出加算及び在宅データ提出加算の届出医療機関数は増加傾向にあります。
(出典)中央社会保険医療協議会総会(2025.8.27,厚労省)