• 医科
  • #開業準備

開業準備スケジュール(7)

2022.01.17

開業スケジュールについて、開業スケジュールについて、今回は「集患・マーケティング」を解説します。長引くコロナ禍の影響から、クリニックの集患戦略は大きく様変わりしています。従来のマーケティング戦略からWebを中心としたデジタル・マーケティング戦略に変わろうとしているのです。

 

マーケティング戦略(3カ月前~)

クリニックの集患・マーケティングは、その存在を地域住民に「認知」させ、実際の受診につなげる必要があります。クリニックの集患は一般的に、①看板②パンフレット配布③ホームページ、などを利用します。最近では、スマホの普及により、ホームページの重要性が年々増しており、コロナ禍でさらに進んだといえるでしょう。また、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)の普及が進んでおり、ホームページとSNSを組み合わせて考えることが大切になっています。

 

看板

「看板」には駅看板や野点看板、電柱看板などがあります。駅看板は、患者が電車などの交通手段を利用する場合に有効です。一方で野点看板は、患者が車で来院される場合に有効です。電柱看板は、患者が徒歩・自転車で来院される場合に有効です。

どのタイプの看板を選ぶかは、患者がどのようなルートで来院するかを想定して、検討することになります。

 長引くコロナ禍の影響で、行動範囲が制限されている現在は、近場の医療機関に来院する傾向となっています。その結果として、駅看板の空きが増えているように感じます。このあたりの環境変化も十分に考慮する必要があるのです。できれば、来院アンケートなどで反応を見ながら、随時看板の設置場所の見直しを図ることをお勧めします。

 

パンフレット配布

クリニックは開院時に1回だけ、「パンフレット」を道で配って良いというのが通例となっています。配布に際しては、必ず警察署などへの届け出が必要となります。これ以外にも、内覧会時や、地域医療機関へのご挨拶、常時の設置などでパンフレットは配布できますので、しっかりとしたものを作成しておきたいものです。

パンフレットの作成については、クリニックの場所、診療時間、休診日、医師のプロフィールといった基本情報とともに、理念やコンセプト、診療内容などを明記すると良いでしょう。写真を多く使い、診療所の雰囲気を伝えることも大切です。パンフレットの役割は、クリニックのコンセプトを伝えることにあります。どんな患者に来院してほしいかをイメージしながら、テイストも意識して作成ください。

ホームページ

ホームページは、「開院時に間に合わせて完成すれば良い」というのは少し古い考え方です。最近では、開院3カ月前には完成しておき、事前に認知活動を行うのが一般的です。その理由は、検索エンジンがホームページを認識するのに最低1カ月かかるとされているためです。

検索エンジンで上位に表示させるためには、SEOSearch Engine Optimization)対策やMEOMap Engine Optimization)対策もしっかり行う必要があります。最近は、スマホで地図から検索するという流れが一般化されており、MEOが重要となっています。

※「SEO」:検索エンジン最適化。基本的に無料から始められるが、対策に手間がかかるため、外注すると高額になる場合も。しかしながら、信頼の置けるホームページになり、ユーザーのクリック数も安定する。検索結果の表示順が一番低い。効果が出るまでが遅い(半年程度)

※「MEO」マップエンジン最適化。検索結果の表示順がSEOより高い。費用を抑えつつ運用できる。地図と一緒に表示される。効果が出るまで約1ヶ月かかる。口コミと一緒に表示される。

 

情報は患者に伝わって初めて意味がある

ホームページなどのクリニック情報は、患者に正しい情報として届かなければ意味はありません。例えば、患者から「今から行って良いか」といった電話が多くかかっては、受付はその対応に追われてしまいます。コロナ禍で感染を恐れる患者は、クリニックを危険なところと考え、できるだけ短い時間で済ませたいという流れが加速化しています。患者は、クリニックの混雑状況を確認する手段として「とりあえず電話」というかたちで表出しているのです。ホームページで混雑状況を表示することや、予約システムと連動することは一つの方法です。しかしながら、ホームページの特性上、患者自らがホームページにアクセスしなくては、効果は期待できません。クリニックから患者に直接働きかけることが難しいのです。つまり、ホームページにいくら混雑状況を載せていても、患者がそれを見なければ、情報は届かないことになります。

 

SNSの活用

そこで注目されているのが、SNSの活用です。SNSは、誰もが気軽に情報を発信できる「双方向性」の情報発信ツールとしての性質を持ち、投稿側・閲覧側という垣根が極めて小さい点が特徴です。クリニックは登録された患者に対して、ダイレクトに情報提供が行えるのです。そして近年では、検索エンジンよりもSNS内の検索機能で情報収集を行うケースも増えてきています。クリニックのマーケティング活動として、現在のような緊急性高く、素早く患者に情報を届けたいと考えた場合、SNSが有効だと考えるクリニックが増えています。SNSとホームページを連携させることは、一般企業では当たり前になり、クリニックもいずれは一般化していくことでしょう。

新型コロナウイルスの感染拡大、それに伴う緊急事態宣言に起因した外出自粛、クリニックの外来減少といった中で、医療界にも新たなマーケティング手法としてSNSの活用が始まっています。

現在、国内で普及しているSNSLINEYouTubeTwitterInstagramFacebookと5種類あり、利用年齢層、男女比率、メディアとしての特性が異なっています。情報を届けたい患者の年齢層や性別などを考えながらSNSを活用する必要があるのです。