• 調剤
  • 薬局経営

「薬局が取り組むべき栄養ケア」 1. 薬局を舞台に薬剤師&管理栄養士で地域の健康サポート拠点の確立へ!

2022.02.10

*栄養ケア・ステーションとは

わが国の総合的な健康増進対策である「健康日本21(第2次)」では、国民が主体的でニーズに応じた健康づくりを進めることができるように,身近で専門的な支援・相談が受けられる拠点を民間ベースで増やしていくことが目標とされています1)。その対象には、地域住民のための食生活支援活動の拠点である“栄養ケア・ステーション”と、地域住民にとって身近な医療提供施設である“薬局”が示されており、これには、地域で管理栄養士と薬剤師の活動が推進されることと両者を含めた多領域での協働にも大きな期待が込められています。

栄養ケア・ステーション2)は、管理栄養士(栄養士)が運用する地域密着型の栄養ケア活動拠点として,日本栄養士会が2002年から設置をはじめました。地域住民の食事や栄養の問題、悩み、疑問などが生じたときに、日常生活の場で専門的なアドバイスやサポートが受けられる機能を持ち、2006年には全都道府県栄養士会47か所への設置が実現しています。将来的には保健所や市町村単位を視野に入れ、より住民に身近な拠点となるよう栄養士会以外の事業者が設置・運営する認定栄養ケア・ステーション事業(コンビニ型・診療所型・薬局型など)も進められています。「栄養ケア・ステーション®」という一律したシンボルマーク(看板)を掲げ、2021年4月現在は全国に356拠点と着実に増加していますが、地域住民のアクセスとアウトリーチを拡充するためにはまだまだ圧倒的に少なく、世間の認知と需要が十分に浸透するにはもう少し時間がかかりそうです。

*薬局も栄養サポートの拠点として

一方、薬局もまた国民誰もが周知する全国共通の「薬局」という看板を掲げ、薬剤師という専門職を配置した、地域に密着した医療提供施設です。全国に約5万4千施設の数を有し、人口10万人当たりの保険薬局数は約42施設、1薬局が受け持つ人口数は2千人を超えており3)、既に膨大な活動拠点と顧客を持っています。近年、薬局・薬剤師には、従来の調剤を主とする業務に地域住民の健康をサポートするという役割が加わってきました。来局する患者だけではなく地域住民がいつでも気軽に相談できる環境を整え、医療・介護・福祉との連携を深め、地域医療や在宅医療への取り組みを強化することが求められています。言わずと知れた超少子高齢社会を迎えた現在、さらには高齢化が急速に進む将来においては、世帯構造や食環境、経済状況などの複合的な問題も加わって、地域の健康課題や在宅医療のニーズも複雑・多様化し、食事・栄養支援の重要性もますます高まることが予想されます。今や住民にとって最もコンビニエンスな薬局に管理栄養士が配置され、薬剤師と連携・協働することは、実にプラクティカルであり、よりきめ細やかな地域住民の健康サポートが実現できる理想の形と考えられます。

 

栄養士による戦後の栄養改善活動のなかで、住民が講習会などに参加できる余裕がなかったため、栄養士がバスの後部を調理台に改造したキッチンカーに乗って、街角や農村を巡回して活動していたことがありました。その当時の様子が今また再現されているように思います。管理栄養士が地域に出て活動しなければならない時が来ています。キッチンカーの代わりは、健康支援の情報とツールを備えて既に地域に数多く点在する薬局です。認定栄養ケア・ステーションを装備したハイブリッド型もあちこちに導入されつつあります。これらの豊富な資源を活用して、地域の人々の健康と幸せのために管理栄養士は薬剤師とともに地域を駆け巡って欲しいと心から願っています。そして近い将来、地域の健康支援拠点がどのような進化を遂げるのか期待を寄せています。

 

1) 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会 次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会,健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料(2012年7月)

2) 公益社団法人日本栄養士会,全国の栄養ケア・ステーション,(https://www.dietitian.or.jp/carestation/search/)(2020年12月29日)

3) 公益社団法人日本薬剤師会,薬剤師の将来ビジョン(2013年4月1日)



(筆者)

堀 由美子

城西大学 薬学部 医療栄養学科 予防栄養学研究室 准教授

博士(薬学),管理栄養士

薬局管理栄養士研究会 開催・運営