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【シリーズ】薬局現場のマネジメント ①現場で育てる、新人薬剤師教育のポイント

2021.12.22

薬局に新人薬剤師が入社すると、臨床現場でも指導や教育が必要となります。しかし、やみくもに伝えるだけでは分かりづらくなってしまうこともありますよね。

現場で新人薬剤師を教育するためには、ポイントを押さえてスムーズに教育できる仕組み化が必要です。指導を通して即戦力となる薬剤師を育成できると、薬局業務の効率化にも繋がります。

今回は、新人薬剤師が不安に感じている部分を取り上げ、それを改善するためのさまざまな新人教育方法についてお伝えします。

■新人薬剤師が現場で不安な3つのこと

薬局業務が忙しく、新人薬剤師教育をおろそかにした経験はありませんか?しっかりとした現場教育は「即戦力になる薬剤師」の育成に繋がります。

まずは、新人薬剤師が現場で不安に感じていることを把握し、知識を吸収できる土台作りをしていきましょう。

1.誰に質問したらいいのか分からない

薬局では、複数のスタッフが働いています。

質問対応をするスタッフを決めていない場合、新人薬剤師は誰に質問したら良いのか混乱してしまいます。また、対応に慣れていないスタッフが返答に困る場合や、スタッフによって返答が異なる可能性もあります。

質問対応をするメインのスタッフは、あらかじめ決めておきましょう。

2.簡単な疑問を質問できない

「こんな簡単な疑問、質問したら怒られないだろうか......」誰でも一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

新人薬剤師は、覚える内容や学ぶべき知識がたくさんありますよね。些細な疑問が膨れ上がると、重大なミスにつながる恐れもあります。

「小さな疑問は、まとめてお昼休みに話してね」と提案するなど、相談しやすい雰囲気作りを心がけましょう。

3.自分が周りに受け入れられているか不安を感じる

薬局によっては、新人薬剤師にすぐ即戦力になって欲しいと考える店舗、成長が遅いときつく当たるスタッフがいる店舗など、さまざまな環境があります。

プレッシャーで過度な焦りを感じると、ミスが起こりやすくなります。理解が遅いからと言って、能力が低いとは限りません。人によって成長速度は異なることを考慮し、教育を行いましょう。

■現場でのさまざまな新人薬剤師教育について

「業務が忙しい」「人手が足りない」など、どうしても十分な教育をしづらい場合もあります。どんな店舗でも新人が成長できるよう、スムーズな教育基盤を整えましょう。

◎OJT、メンター制度の導入

OJTとはOn the Job Trainingの略称。実務を通して、先輩から知識やスキルを教えてもらう制度です。メンター制度とは、メンター(指導者)がメンティー(指導される側)となる新人薬剤師の仕事相談に乗り、やる気を保つことで、目標達成へのサポートを行う制度です。

この制度の導入は、指導薬剤師が「新人教育が自分の仕事」と責任を持つこと、周りからの協力を得やすくなることに繋がります。

◎目標達成チェックシートの作成

新人が学ぶべき知識や業務を一覧にすることで、学んだ内容が分かりやすくなります。また、店舗によって教わる内容にムラが出にくい、忙しい時は他スタッフに簡単な指導をお願いできるなど、新人薬剤師教育の効率化にも繋がります。

◎さまざまな門前薬局での研修

複数の店舗を展開する薬局の場合、応需する診療科の異なるさまざまな門前薬局での研修は、自店舗では学べない業務や処方を知ることができ、経験値の向上に繋がります。

自店舗が忙しく十分な教育が難しい時期があれば、チェックシートをもとに新人薬剤師への指導をお願いすることで、お互いに効率のよい新人教育を行えます。

■薬局は1つのチーム

新人薬剤師に指導をするのは、あなただけではありません。

もちろんメインで指導をするスタッフはいますが、「薬局は1つのチーム」です。薬局のスタッフ皆で、新人薬剤師を育てる意識を共有していきましょう。



(松岡マイ 医療/取材ライター・編集者)