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【シリーズ】2025年を見据えた薬局・薬剤師像を探る 7「ドラッグストアの調剤」

2022.01.26

ドラッグストアにおける調剤実績が急速に拡大しています。国内全体の処方箋枚数が伸び悩む中、調剤併設ドラッグストアが増え、調剤実績に反映しているようです。

■全体の調剤実績は停滞傾向

日本薬剤師会の医薬分業進捗状況(保険調剤の動向)によると、2020年度の調剤実績は処方箋枚数7億3115万枚(前年度比10.6%減)、調剤金額7兆1432億円(同3.1%減)、分業率75.7%でした。

2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、処方箋枚数は大幅減となりましたが、コロナ以前の2017~2019年度の実績でも処方箋の伸びは0.6~1.0%で推移、調剤金額は2017年度1.7%増、2018年度2.1%減、2019年度3.2%増と明らかに鈍化しています。

■調剤併設ドラッグストアが増加

そうした中、ドラッグストアにおける調剤の取り組みが近年、急速に拡大しています。日本チェーンドラッグストア協会の調査によると2020年度のドラッグストアの調剤売上高は1兆693億円(前年度比9.0%増)で、全体の調剤金額の14.5%を占めていることがわかりました。

ドラッグストアの調剤が伸びている要因は2つ。1つは各社が調剤併設型ドラッグストアを増やす傾向にあることです。

その背景には同業者間の競争に加え、コンビニやスーパーなど他業態との競合が激化する中、専門領域である調剤を導入することにより、同業者や他業態との差別化を図る狙いがあります。調剤は目的来店性が高く、調剤の待ち時間内に他の商品を買い回ることができるなどの利便性があります。

ドラッグストアはその黎明期から発展期にかけて、豊富な品揃えと低価格路線を前面に打ち出し、調剤とは無縁に成長してきましたが、最近は専門性強化の意味合いから次第に調剤に本腰を入れるようになってきたのです。

多くのドラッグストアはポイント制を導入しています。調剤時の一部負担金にもポイントを付与し、そのポイントを物販部門で使うことができるような仕組みを採用しています。これによって来店を促すことになり、物販部門にも好影響をもたらしています。

薬学教育に6年制が導入されて以来、奨学金の返済のため待遇の良いドラッグストアへの就職を希望する学生が増えました。薬剤師を確保しやすい環境が生まれてきたことも調剤併設が進んだもう1つの理由です。

■ドラッグストアの調剤の課題

ドラッグストアは調剤だけでなく、OTC薬や健康食品など健康関連商品を扱っているために、そうした商品知識が身に付き、幅広い健康相談に応じられるメリットがあります。OTC薬購入客に対しても、OTC薬で対応できるのか、医療機関への受診を勧めた方が良いのかなどのトリアージもしやすい特徴があります。

一方、調剤業務そのものに対しては、まだまだ十分とは言えない状況もあります。調剤した薬を交付して終了となっているケースがほとんどです。薬歴やお薬手帳との照合など通常の業務については実行されているものの、調剤報酬の「かかりつけ薬剤師指導料」を算定しているドラッグストアは少なく、健康サポート薬局も同様です。また、在宅医療に関しては手掛けるドラッグストアが増えつつあるものの、全体的には少ないのが現状です。国が進める“対人業務へのシフト”に関しては課題があります。

ドラッグストア全体で見た場合、調剤や在宅医療などを含むヘルスケア領域に注力している企業と食品の取り扱い拡充などの企業、その中間に位置する企業とに分かれており、食品重視の企業では薬局を併設していないケースも少なくありません。

ただ、食品など他業態からのラインロビングは必然的に価格競争に陥りやすい傾向があり、こうした企業も少子・高齢化の影響で消費全体が縮小する中、いずれは医療・介護ニーズの増加とともに調剤を軸としたヘルスケア領域を重視せざるを得ない状況にあります。

(筆者)

藤田道男

一般社団法人次世代薬局研究会2025代表

※2021年6月発行の記事を再編集しました(MIL編集部)