• 調剤
  • 薬局経営

【シリーズ】2025年を見据えた薬局・薬剤師像を探る 8「薬薬連携の実際」

2022.01.31

薬機法の改正を受けて、2021年8月から「地域連携薬局」「専門医療機関関連携薬局」の薬局機能分類がスタートしました。地域医療機関における機能分化と同様に、薬局においても機能分化が本格化し、地域包括ケアシステムにおける、病院薬剤部との更なる連携強化とともに、地域薬局間の連携も求められることになります。

■地域連携室「窓口」に進む機能分化と連携

2007(平成 19)年医療法の一部改正で、他施設(病院等、薬局等)との連携に関する事項が明文化され、多くの病院に「地域連携室」が設置されるようになりました。各医療機関が地域包括ケアシステムのなかで棲み分けるために重要な部門と言えます。薬局にとっても、この「窓口」とのつながりは、今後一層重要になります。

病院薬剤師には、これまで病棟業務の充実が求められてきました。しかし、「地域完結型」医療への転換が加速度的に進められる中で、入退院支援業務や新たな外来業務を展開し、「地域における多職種協働マネジメント」機能が求められています。そのため従来の薬薬連携の勉強会等での繋がりを活用して、積極的な薬薬連携の取り組みも見られるようになってきました。

■薬薬連携のポイントはwin-winの関係性

ここに来て、さらに積極的に連携しようという気運が高まりつつあります。その背景の一つには2020 年度の診療報酬改定で新設された「退院時薬剤情報連携加算」があります。退院時に保険薬局に対して「薬剤管理サマリー」により、情報提供をするものです。この薬剤管理サマリーは、実は日本病院薬剤師会(日病薬)が既に2005年に「退院後の薬学的ケアを地域で継続するための情報連携ツール」として作成し、2018年には改訂版として作成していたものです。診療報酬上の裏付けができたこともあり、日病薬では2020年4月、「地域医療連携の手引き(Ver.1)」を公表し、より積極的に展開を目指しています。薬局側も2020年10月に日本保険薬局協会「地域医療連携の手引き(薬局版)Ver.1」、さらに実際の連携事例集を含むVer.2を2021年5月に公表するなど、「地域連携薬局」等の実施を目前に、その動きは加速しつつあると言えます。

ここで大切なことは、患者さんのための取り組みではありますが、連携する両者にとって、その連携がwin-winの関係にあることです。

今後さらに医療財政が厳しくなるなか、病院側も無駄をそぎ落とし、かつ患者さんのスムースな在宅移行、転院等に資するため、様々な工夫をして、病院薬剤師自身の先駆的な取り組み事例集や各種の手引きなど発信し、その普及に努めています。

薬局・薬剤師としては、関わることが可能な入退院時、その前後の過程で病院(薬剤部)がどのように業務に追われ、他医療機関や薬局に何を期待しているのかを把握し、タイミングよく関わることが重要です。

少なくとも近隣の医療機関がHPで、どういう情報を開示しているのかは、把握しておく必要があります。また情報を待つだけでなく、必要に応じて薬局側あるいは薬剤師会を介して、積極的に地域の問題を解決する提案、要望等も出すなど、待ちの姿勢からの脱却が望まれます。

■病院薬剤師と薬局薬剤師をつなぐ薬剤師にも注目

在宅療養支援診療所・病院に勤務する“在支診薬剤師”の存在も注目されます。彼らは入院先医療機関と地域のケアマネージャーや訪問看護ステーション、薬局など関連機関との緊密な連携の仲介役を果たしています。現時点では診療報酬上のフィーに基づく業務ではありませんが、「在宅医療=薬物療法」の現場において、さらなる高度化が想定される中で、薬剤師の果たす役割は深度を増すことになります。そのため病院・診療所・薬局間で薬の専門職同士が連携する意味は大きいと言えます。

地域連携薬局、専門医療機関連携薬局の機能分化により、地域完結型医療体制の構築に向けて、連携する医療機関とともに、「他の薬局に対して報告及び連絡することができる体制」と、薬局間での連携も求められています。この薬局間連携で医療の質向上、無駄な医療費の削減などの実績が示せれば、いずれフィーの形で還元される可能性もありますが、まずは薬局機能の分化と連携を行うことによる、それぞれの地域完結型医療への貢献に期待がかかっています。

(参考資料)

日本病院薬剤師会「地域医療連携実例集Ver.1」(2018年7月)

https://www.jshp.or.jp/cont/18/0705-1.pdf

日本病院薬剤師会「地域医療連携実例集Ver.2」(2019年6月)

https://www.jshp.or.jp/cont/19/0610-1.pdf

日本保険薬局協会「地域医療連携の手引き(薬局版)Ver.2」(2021年5月)

https://secure.nippon-pa.org/mail/img/npha_renkei202105.pdf

日本病院薬剤師会「地域と病院とをつなぐ薬剤師の入退院支援業務事例集」(2021年5月)

https://www.jshp.or.jp/banner/guideline/20210607.pdf

(筆者)

藤田道男

一般社団法人次世代薬局研究会2025代表

※2021年7月発行の記事を再編集しました(MIL編集部)