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【シリーズ】2025年を見据えた薬局・薬剤師像を探る 10「オンライン資格確認が薬局の業務を変える」

2022.02.07

■薬剤情報には最大40日間、最短10日間のタイムラグがある

オンライン資格確認が2021年10月20日から本格開始されました。マイナンバーカードが保険証としても利用できるようになり、文字通り、オンラインで保険の資格確認が可能になるものです。

オンライン資格確認を利用することのメリットについて、厚労省は大きく2つを提示しています。1つは事務コストの低減です。これまで少なからず発生していた期限切れの保険証による過誤請求がなくなると同時に、手入力の手間なく資格情報が取り込まれることによって作業が効率化します。もう1つは多様な情報を閲覧できるようになることでよりよい医療の提供につながる点です。オンライン資格確認では薬剤情報や特定健診の情報が見られることになります。薬剤情報や健診情報については、マイナポータルを通して、患者本人も閲覧することができるようになります。

薬剤情報はレセプトを基にしますので、閲覧できる情報にタイムラグが発生することには注意が必要です。例えば11月1日〜11月末日までのレセプト情報は、12月11日の0時から見られるようになります。11月1日の薬剤情報を見ることができるのは12月11日からとなり、40日間のタイムラグが発生。一方、12月11日には11月31日の薬剤情報を見ることができるため、ここでは10日間のタイムラグしか発生しません。言い換えると、薬剤情報のタイムラグは最短10日間、最大40日間ということができるわけです。

レセプト情報の取り込みは2021年9月分からはじまり、その後、時間経過とともに情報蓄積は増えていき、最終的には最大3年分の閲覧が可能になります。

健診情報は特定健診・後期高齢者健診情報のことで、2020年度以降に実施され、保険者によって登録された情報が順次見られるようになります。こちらは最終的に5年間分の情報閲覧が可能です。

■薬局が多様なデータをどう生かすか

こうした多様な情報を薬局がより良い服薬指導に生かすことが期待されます。

例えば、重複投薬チェックの徹底は活用方法の最たるものです。これまではお薬手帳で多科受診の薬剤を一元的に管理していましたが、漏れの懸念はありました。オンライン資格確認では、包括的に把握できるようになりますので、重複投薬チェックの実効性はかなり高まると考えらます。特に入院中の投薬内容の把握については、収集しづらいとの声がこれまであったため期待がかかります。

一方、健診情報を薬局でどのように生かすことができるかは、今後、好事例の共有が求められる領域になりそうです。これまで健診の情報を患者と共有してきた薬局は多くはないと考えられるためです。一部には健診情報を基に未受診者や予備軍をスクリーニングして、薬局での受診勧奨や健康相談に生かす案も出ています。

■閲覧できる情報はどんどん増える

今後、薬局が把握できる情報はどんどん増えていきます。

オンライン資格確認では、2022年夏をメドに、手術や移植・透析・医療機関名が閲覧できる情報として追加される予定です。さらには、2023年にはオンライン資格確認を基盤とする電子処方箋が開始されます。電子処方箋では薬剤情報をリアルタイムで把握することが可能になり、服薬管理の精度を一層高めることができます。薬局での調剤情報も登録することになりますので、電子処方箋システムを通して、処方医と薬局薬剤師の情報伝達がよりタイムリーに、かつ効率化されることが期待できます。

さらにはこうした情報が電子版お薬手帳に一括で取り込むことができるようになるため、電子版お薬手帳の活用を推進していくことで、個人が蓄積している体重や血圧などのパーソナルヘルスレコード(PHR)なども融合させて健康管理に生かすことができるようになります。厚労省では電子お薬手帳を介して一般用医薬品の管理にも資するような仕組みを検討するとも表明しています。

健康に関わる多様な情報を手元に保有した時、薬局業務も大きく変化すると考えられます。

(筆者)

薬学生・薬剤師向け情報誌『MIL』編集部