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電子カルテ運用のポイント ~署名と押印の取り扱い~

2023.05.11

 

本連載「⑪リハビリテーション」において、リハビリ実施計画書の署名についてお伝えしました。2回目以降の計画書で、患者自ら署名が困難な場合、家族に同意を得た旨をカルテに記載すれば患者本人の署名がなくても差し支えない、ただし、交付は必要という内容です。

本稿では、文書の運用の留意点の第2弾として、署名・押印の取り扱いやカルテ記載についてお伝えしたいと思います。

Point1:署名が必要な文書における留意点

Point2:国の政策 署名と押印について

Point3:署名のほかに留意が必要な文書


 

Point1:署名が必要な文書における留意点

 <リハビリ実施計画書> そのほか入院診療計画書が同様の扱いとなります。

・身寄りがなく患者自ら署名が困難な場合

 ⇒署名は空欄とし、理由をカルテに記載することが必要。

 ⇒医師や看護師、スタッフが代理署名をすることは不可。

・家族が遠方で電話により説明した場合

 署名欄欄外またはカルテに署名ができない旨や家族(○○様)に電話にて承諾いただいた旨を記載。

 

 

Point2:国の政策 署名と押印について

国において、オンライン化・デジタル化が推進され、令和321日「行政手続きに係る押印を不要とする取扱いについて」(保医発02012号)が発出されました。

改正対象は、行政機関から国民や事業者等に対する押印を求める手続きとされます。

署名のみを求めている手続きは、改正対象ではないとされています。

政策と同様に、医療機関での文書全般も押印が不要なのか、医療機関からご質問を受けることがあります。以下に死亡診断書等の例を記載致します。

 

<死亡診断書>

署名ではなく記名+押印がなされたもので差し支えない

 

経緯:医師法規定により医師の記名押印によることは認めず、必ず署名(電子署名を含む)とされているため、「押印を求める手続の見直し等のための厚生労働省関係省令の一部を改正する省令」令和21225日を受け、記名押印は認めず必ず署名(電子署名を含む)とされましたが、当面記名+押印の取扱いが認められました。

令和316日事務連絡

「死亡診断書(死体検案書)の押印廃止に係る当面の取扱いについて」

https://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/dl/manual_r030106.pdf

 

<死亡診断書以外の文書>

運用の通知がある項目はその通知が有効、

それ以外は「自筆の署名がある場合には印は不要。印字記名は押印が必要。」です

 

根拠:

運用の通知がある項目はその通知が有効、

診療報酬上の通則(診療点数早見表P21 医科診療報酬点数表に関する事項 通知(8))「署名または記名・押印を要する文書について、自筆の署名がある場合には、印は不要」に沿って運用。(厚生局確認)

 

 

Point3:署名のほかに留意が必要な文書

一例として、入院診療計画書についての留意点を挙げさせていただきます。

日帰り入院等7日以内の入院は説明や交付を要しないとされていますが、

入院診療計画書の作成が必要。

また、カルテに入院診療計画書の写しの添付が必要。

その他、救急処置室での死亡入院は、作成が必要、交付が不要です。

 

 

 

医療の分野でも「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームが発足され、全国医療情報プラットフォームの創設、電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定DXの構築が進められています。

今後、具体的な工程表が発出されますので、注視いただければと存じます。

 

情報提供元:株式会社ウォームハーツ