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加算パワーアップ「地域支援体制加算」
2023.08.21
今回から3回にわたり薬局の加算パワーアップシリーズについてコラムを書きます。
①加算パワーアップ「地域支援体制加算」
②加算パワーアップ「居宅療養管理指導の算定ルール」
③加算パワーアップ「在宅回りの加算」
ご存じの通り、処方箋ビジネスは、(売上高)=(処方箋単価)×(処方箋枚数)で決まります。また、(粗利益額)=((技術料)+(薬価差益))×(処方箋枚数)で決まります。
この技術料の中で、薬局の努力で増やすことのできる代表格が「地域支援体制加算」です。この加算を取れるようになると経営が高利益体質に変わりますので投資対効果が大きいものとして注目です。
加算が増えるということは、図の粗利益の一部である、技術料が増えることになります。粗利益額が増え、人件費やその他の販売管理費が変わらなければ、経常利益が上昇しますので、しっかりと加算を取るということは、高利益体質になります。特に、地域支援体制加算のように、全ての処方箋で加算できるもののインパクトは大きくなります。
👆コラム内容について 地域支援体制加算の大切さ、加算取得の難所と対策をまとめました。 |
【目次】
1.地域支援体制加算の経営へのインパクト
地域支援体制加算は、地域の「かかりつけ機能」を評価するため、地域医療への貢献度や実績からつけられる加算です。点数の加算は、調剤基本料1の算定有無及び、貢献度によって4段階に分けられています。
地域支援体制加算 |
条件 |
点数 |
1 |
調剤基本料1の算定薬局 各要件を満たした場合に算定可 |
39点 |
2 |
47点 |
|
3 |
調剤基本料1以外の算定薬局 各要件を満たした場合に算定可 |
17点 |
4 |
39点 |
細かい算定要件は、いろいろなホームページ等にも記載されています。
弊社のホームページ(地域支援体制加算について)でもまとめていますので、詳細要件を見直しされたい方はご覧ください。
経営へのインパクトを試算してみます。
地域支援体制加算1(39点)を、全国平均程度の1,200枚処方箋の薬局が取った場合は、5,616,000円/年(39点×1,200枚×12か月)の粗利益額が増えますからとても大きな加算であることがわかります。ちなみに、連携強化加算(2点)という加算もありますが、地域支援体制加算を算定している薬局であれば、ほぼ書類提出だけでお得に取得もできますので、実際は、5,904,000円/年(41点×1,200枚×12か月)の粗利益を上げることができます。
2.地域支援体制加算の難所
いろいろな資料を厚生局へ提出しなければならないのですが、ボトルネックになりやすい2点とその対策についてです。
①人の要件
加算を取るために、管理薬剤師の基準があります。
保険薬剤師として5年以上の経験 |
週32時間以上勤務している |
現在の薬局に継続して1年以上在籍 |
この3要件を満たす人がいなければなりません。薬局に該当する人がいない場合は、該当する薬剤師採用をしなければなりません。
👆ポイント(人の要件が満たせない時の採用) 30代、40代薬剤師の採用市場は加熱していますが、50代の薬剤師はねらい目です。10年以上の薬剤師経験がある方が多く、また、人生経験が豊富なため、患者さんに寄り添うことに長けてらっしゃる方が多いです。年齢的に、対物業務は若手に分がありますが、在宅業務と相性は抜群です。次回のコラムで在宅についてまとめますが、在宅業務は高単価処方箋になるため、在宅とセットで地域支援体制加算取得の道筋に50代薬剤師採用もお勧めです。 |
②在宅医療
地域支援体制加算では、在宅を年間24件以上が必須になります。
24件ですから、月2回在宅訪問で1年間(12か月)以上という計算になります。在宅を行っていない薬局には二の足をふまれる方も多いと思いますが、取り組むためのステップを紹介します。
👆ポイント(在宅の開拓する方法)
|
ある程度在宅の契約はとれているが、あと数件集めたい時の方法を紹介します。あまり知られていませんが、コロナ患者さんの薬を届ける場合は、在宅の契約書を結んでいなくても、在宅件数が取れるパターンになります。
👆ポイント(在宅患者契約がないが、在宅の算定をふやす裏ワザ) 「CoV自宅」「CoV宿泊」の処方箋をお持ちの患者さんに、薬剤師が訪問して薬学的管理指導を行った場合は、特例として在宅患者緊急訪問薬剤指導料を算定することができます。対面で対応した場合は「在宅患者緊急訪問薬剤指導料1」、情報機器で対応した場合は「在宅患者緊急訪問薬剤指導料2」が算定できます。この加算は、どちらでも在宅1件分としてカウントが可能で、地域支援体制加算の24件分の1つとして認められます。 なお、コロナ感染症が感染症区分5類へ移行したため、特例期間が終える可能性がありますので、厚生労働省の発表にはご注意ください。 |
最も欲しい薬局が多いであろう地域支援体制加算をどうしたら、取れるのか。特に、肝になるところの紹介をさせていただきました。この記事が皆様のお役にたてましたら幸いです。
もっと詳しい内容やコンサルをご希望の方は、無料相談もやっておりますので、お気軽にお問い合わせください。
著者紹介
鈴木 素邦 有限会社クラヤ代表取締役
薬学部卒業と同時に薬剤師免許取得。新卒で薬剤師国家試験予備校に講師として就職。講師業は年間100日以上、15年間で9000時間以上登壇。15年間受講者満足度は常に上位。短時間で最大限の情報を講義内容と話し方に評価を受け、東京大学など全国32大学への出張講義。武田薬品工業(株)、ファイザー(株)等大手製薬企業20社以上のMR研修講師へと幅を広げた。
27歳で管理職に昇進。自身の価値観を部下に押し付け、10人中5人の部下が退職や異動希望が出る状態になりどん底を味わうが、社内から顧客満足度を上げる伝え方を聞かれることが多くなり、人を動かすトークメソッド「ストーリーライン」を体系化。
薬剤師合格率(20部署中)1位を予備校始まって以来初の3年連続達成。学長賞(準MVP)を2回受賞、その他社内表彰多数受賞。20部署中6部署統括や、バックグラウンドの異なる200名を動かすプロジェクトマネージャーも担当するが、「ストーリーライン」を活用し、全国のメンバーのまとめ上げにも成功。薬剤師の輩出数は、3万人を超える。
高齢の親が経営する不動産管理会社を事業承継するため予備校をやむなく退職。事業拡大の準備として現場薬剤師を経験し、薬局向けのコンサルティング事業を開始。今までのやり方が通用しなくなってきている薬局業界を「ストーリーライン」を通じて、処方箋単価向上、処方箋枚数の増加、オンライン時代に向けた薬局の変革。好評となり、徐々に注目され、「薬局コンサル」でホームページ検索すると、上場コンサルティング会社(船井総研)と同様に1ページ目に出てくる知名度の会社となっている。
YouTubeチャンネル(薬剤師そほうの薬局経営塾)
https://www.youtube.com/channel/UC_c5_QbVmChYgZ3VxsCI84w/featured