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承継したて薬局経営者必見!薬局財務の超基本~キャッシュを知ろう~

2024.06.25

 

今日のテーマは「薬局財務の超基本」です。

会社が潰れるのは、どういう時でしょうか。支払いに対して、払えるお金が無くなることです。赤字になろうが、売上高がゼロになろうが、キャッシュがあれば、会社は潰れません。今日は会社の肝である「キャッシュ」がどうなるのかについて確認しましょう。

 

このコラムを読むと

良くあるキャッシュ(現預金)と財務指標についての関係性がわかります。

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【目次】

  1. 利益が増えたら、現預金が増えるわけではない
  2. 減価償却費は現預金が増える
  3. 1か月の売上と経費
  4. EMシステムズの商品

 


1.利益が増えたら、現預金が増えるわけではない

毎月の利益(売上―経費)が出れば、現預金が貯まるはずとおもってしまうと思っている人は多いのではないでしょうか。利益がでれば、現預金が貯まりやすいのは事実ですが、そうではない時があることもあります。しかも、意外と良くあるパターンです。

 

経営のコツ

会社が成長している時(売上が伸びる時)は、利益が出ても現預金は増えません。

薬局のビジネスモデルは、薬の在庫が無ければ商売はできません。商売する順番は、先に在庫を購入してから、薬を売りながら処方箋収入を得ます。なお、売上が伸びたとしても全部の在庫がはける訳ではありませんから、成長しているときは、在庫購入額が増えますので、利益は伸びても現預金は増えません。

利益が計上されたタイミングでPL(損益計算書)には書かれますが、現預金がふえはじめるのは、成長が落ち着いてからになります。(∵在庫購入額が一定になるためです。)なお、成長が続いているときは、継続して在庫を増やすことになるため、現預金は増えません。現預金が必要な時は、運転資金を銀行から融資して貰いましょう。

なお、この落とし穴にも注意してください。薬局の棚卸は、年に1回か、2回しかしませんよね。

ということは、B/S(貸借対照表)に載っている棚卸資産は変化しません。棚卸資産は、医薬品購入額の実態を示せてないため、在庫購入額は毎月追いましょう。

~まとめ~

『利益が上がる≠現預金が増える』、『在庫購入額は毎月要チェック』を抑えておきましょう。

 

 

2.減価償却費は現預金が増える

減価償却費は、経費の一つの項目です。そのため、P/L上は、利益を圧迫します。しかし、減価償却費は、実際に現預金は減りません。例えば、薬局建物(木造)を購入した場合は、償却期間は22年。ですから、償却期間の22年間は、減価償却費の経費としてP/Lにのります。一方で、ものを買うときは、購入時にお金は支払います。すると、初年度以外の償却期間は、減価償却費分の現預金は減っていないのに、P/Lに書かれている経費となります。

 

経営のコツ

P/Lを見るときは、(利益)+(減価償却費)が稼ぎだしている力そのものになります。
応用すると、(利益)+(減価償却費)-(在庫購入増加額)をみておくと、キャッシュフローは見えてきます。

 

3.1か月の売上と経費

みなさんの会社の売上高営業利益率(営業利益/売上高)はどの位でしょうか。5%を超えている薬局はとてもすごいと思います。ちなみに、大手の薬局の営業利益率5%前後です。

出典:日本経済新聞 2023年9月11日

売上高営業利益率が5%とした場合、95%が経費として使われているのです。つまり、薬局を1か月運営するには、1か月分の売上高(月商)の経費がかかるということです。

 

経営のコツ

薬局は、1か月の売上高の大部分(9095%以上)が、経費です。冒頭で書きましたが、キャッシュがあれば、会社は赤字であろうが潰れません。お金のことを心配しないで経営をするには、2か月~3か月の売上を手元資金として現預金で持っておくと良いと思います。

2か月~3か月の現預金を持っておくと、単月のトラブルでは乗り切れる可能性が高まります。

現預金を溜めて、万が一に備えてください。万が一に対応できるのは現預金の多い会社です。

 

4.EMシステムズの商品

在庫管理システムは、最小の導入は手間はかかりますが、大きな金額が動く棚卸資産の管理は大切です。商品購入額を毎月おさえることで、財務管理に役立ちます。また、廃棄処理になる薬も減らせます。EMシステムズでも薬局経営に心強いデータ分析/在庫管理機能、実務の見える化できる看板商品『MAPs for PHARMACY DX』がありますので、選択肢の一つにご検討ください。 

 

 EM  

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筆者:

鈴木 素邦 有限会社クラヤ代表取締役

1980年生まれ、千葉県出身。薬学部卒業と同時に薬剤師免許取得。新卒で薬剤師国家試験対策予備校の薬学ゼミナールへ就職。主に、「疾病と治療」を担当する講師として、東京大学など全国32大学の出張講義で教壇に立ち、大手企業製薬企業20社以上から研修依頼なども受け、短時間でわかりやすく伝わる話し方で人気を集める。27歳で管理職に昇進。マネジャー職に苦戦するも在職中に経営学修士(MBA)取得で業績が大きく向上。薬剤師合格率(20部署中)1位を予備校始まって以来初の3年連続達成。営業成績も20部署中1位達成。3万人以上の薬剤師を世に送り出す。家業事業承継の関係でやむなく薬学ゼミナールを退職し、3代目不動産会社社長に就任。

新規事業として、薬局薬剤師の経験を経て、専門部署を持てない中小薬局専門のコンサルティング会社を立ち上げ、「お客様の思いをカタチに」をモットーに中小薬局経営者の右腕になれる存在を目指している。特に、ゼロからの地域支援体制加算の算定は、1店舗経営からも喜ばれるサポートとして好評。

書籍:その1錠が寿命を縮める薬の裏側

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