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地方公共団体が手続負担の軽減へ取り組み
2024.08.23
障がい福祉分野において、事業者の手続負担を軽減し、生産性の向上を図る観点から、「障がい福祉分野における手続負担の軽減(ローカルルールの見直し等)」を進めることの通知が厚生労働省からでています。
今回は障がい福祉サービス等事業者が地方公共団体に対して行う手続の負担軽減に向けた取組についてお伝えします。
【目次】
1.標準様式の活用
簡素化の観点から標準様式及び標準添付書類(以下「標準様式等」という。)が作成されています。
標準様式となった項目は下記になります。
(1)指定申請関連文書
新規に事業所を開設する際に、都道府県等に提出する標準様式等の書類が作成されています。 また運営指導において人員基準の確認をするために、活用しやすい勤務体制一覧表も作成されました。
今回新たに標準様式として作成された書類の一覧
〇【指定申請】標準様式
〇参考様式1(主たる対象者を特定する理由等)
〇参考様式2(苦情解決処理の概要)
〇参考様式3(誓約書)
〇参考資料4(勤務体制一覧表)
勤務体制一覧表には、各サービス種類の標準様式も作成されており、利用者人数などの情報を入力すると、必要な人員数が集計されるような様式になっているため、非常に便利です。
(生活介護の例)
(2)報酬請求関連文書
各種加算の算定に当たり都道府県等に届け出る標準的な書式がエクセル形式で54個作成されています。
令和6年度の報酬改定で新設された加算((例)共同生活援助の人員配置体制加算)についても記載例も作成されています。
日頃から標準様式を活用して管理を進めることで取得済みの加算においても加算要件を満たしているか確認の活用ができると考えられます。
(3)運営指導(実地指導)関連文書
都道府県等から運営指導(実地指導)を受ける際に提出する書類が作成されています。
自己点検表という書類で各サービスにおける運営指導で確認されるポイントがまとめられています。
自己点検表の活用は “確認事項”と記載されている内容や“関係書類”が揃っているか確認をすることで運営指導の対策になります。
(自己点検表の例)
運営指導に関する内容のコラムはこちら
令和6年度報酬改定を踏まえた運営指導(旧実地指導)のポイント概要 本格化される指導に備えた準備項目とは?|医療従事者・介護従事者”必見”の医療情報ポータルサイト|EM-AVALON
標準様式等の活用により、障がい福祉サービス等事業者の書類作成と手続負担の軽減につながり、生産性向上につながることが期待されています。
ただし注意点として、“都道府県等が地域の特性に照らして特に必要があると判断する場合には、独自の規律を設け、独自の様式・添付書類を使用することも可能です。”と通知がでています。
つまり、ローカルルールは引き続き残る可能性があります。
2.地方公共団体への手続きの簡素化内容
簡素化の観点から手続きの簡素化される項目が7つ示されました。
(1)指定申請等の様式に押印・署名の見直しによる簡素化
指定申請等の様式について押印・署名が求められないことを基本となっています。
しかし複数の地方公共団体における取組を調査では、押印が必要な文書がある事例が見られたことから、一部地方公共団体ではローカルルールが残っているようです。
(2)指定申請における書類提出方法の見直しによる簡素化
〇新規指定申請
事業に関する事前説明や面談の機会等を含めて一度は対面の機会を設けることを基本としつつ、書類の提出は電子メール等による提出も可能とされます。
既に事業所を運営している事業者は、改めて対面での説明等を必須とされず、電子メール等による提出が可能とされています。
〇更新の申請及び変更の届出
電子メール等による提出が可能とされています。
また、各種加算の届出をはじめ、指定申請以外の手続においても電子メール等による提出を原則とされているようです。
一部地方公共団体では、既に“問い合わせフォームやメールアドレス”で質問や問い合わせをお願いします。と進めています。
(3)人員配置に関する資料の簡素化
指定申請の際、人員配置に関する添付資料は、人員配置基準に該当する資格に関する資格証や研修修了証等の写し及び管理者等の経歴書のみを基本とされます。
そのため基本的には雇用契約書等その他の人員に関連する他の添付資料は求められないことになりました。
(4)運営規程等に記載する従業員の「員数」の取扱い
運営規程や重要事項説明書に記載する従業員の「員数」は日々変わる可能性があるため、規程等を定める際は、指定基準において置くべきとされている員数を満たす範囲において、「○人以上」と記載することも差し支えないこととされています。
(「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支 援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び 運営に関する基準について」(平成 18 年 12 月6日障発第 1206001 号厚生 労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)第三の3(20)①等を参照)
また、実人数を記載する場合であっても、運営規程の「従業者の員数」に 変更が生じたとして届出が必要になる場合は、変更が生じた都度ではなく、1年のうち一定の時期を比較して変更があった場合で可能になりました。
(5)新規指定における施設・設備等の写真の簡素化
地方公共団体の指定申請において、写真の提供を求めるのは、地方公共団体が現地を訪問できない場合に限られるようになりました。
(6)更新申請時に求める文書の簡素化
既に提出している事項に変更がないときは、特段の事情がない限り申請書の記載又は書類の提出が省略可能になりました。
(7)指定期間6年未満での更新が可能
障がい福祉サービス等事業者の指定は、6年ごとにそれらの更新を受けなければなりません。しかし、指定等の有効期間を規定するものであり、障がい福祉サービス等事業者が、指定等の更新を6年未満で行うことが可能になりました。
3.まとめ
一部地方公共団体ではローカルルールが残っているため、必要資料の提出時には、地方公共団体へ一度確認の上、対応を進めることが安全です。
厚生労働省が求める書類の標準化の取り組みが進められています。
厚生労働省は、手続負担軽減や生産性向上を図る観点で、書類の標準化や手続きの簡素化が進められているため、積極的に活用いただき、可能な限り簡素化を進めていくことが望ましいです。
令和6年度の報酬改定でBCP、衛生管理、虐待防止など義務化された内容など対応しなければならない項目が多くあるため、簡素化対応を進めることが重要です。
参考通知:こども家庭庁及び厚生労働省
厚生労働省 HP:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000070789_00014.html
こども家庭庁 HP:https://www.cfa.go.jp/policies/shougaijishien/shisaku/hoshukaitei