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異例!【10月調剤報酬改定(医療DX推進体制整備加算)】マイナ保険証利用率で点数が変わる!

2024.09.05

 

年度の途中の10月に【医療DX推進体制整備加算】の報酬改定が行われることとなりました。

シンプルにまとめた変更点、これからの薬局がすべきことについてまとめます。

 

このコラムを読むと

10月から変わる調剤報酬改定(医療DX推進体制整備加算)と今後の国の方向性がわかります。

また、マイナ保険証利用率をあげるノウハウを一部紹介します。

  

【目次】

  1. 医療DX推進体制整備加算が変わるポイント
  2. 国の方向性(DX)について
  3. マイナ保険証利用率を上げるノウハウ

 


1.医療DX推進体制整備加算が変わるポイント

10月からどのように変わるのかまとめます。

現在

10月 変更(実績は6月、7月、8月~)

医療DX推進体制整備加算 4点

医療DX推進体制整備加算1 7点

医療DX推進体制整備加算2 6点

医療DX推進体制整備加算3 4点

現状のおさらいですが、医療DX推進体制整備加算は4点ずつ月に1回まで算定が可能です。

例えば、店舗の処方箋枚数が月1000枚、レセプト件数が800件とした場合は、3200点(4点×800件分)を算定できます。10月から点数が変わりますが、月に1回まで加算が取れることは変わりません。

変わるところは、マイナ保険証利用率に応じて医療DX推進体制整備加算1~3と細分化されます。

出典:医療DX推進体制整備加算・ 医療情報取得加算の見直しについて(厚生労働省保険局医療課)

 

マイナ保険証利用率に応じて点数が変わるため、薬局としてはマイナ保険証利用率を高めていく必要があります。4月以降の利用率に関しては、年末頃に数値を出すとの方針も示されております。おそらく、利用率の要件は更に上がっていくものと思われます。

また、10月からマイナ保険証利用率を確認すると思いますが、実績となる数値は下表のように数か月前の数値を使うことになっています。

出典:医療DX推進体制整備加算・ 医療情報取得加算の見直しについて(厚生労働省保険局医療課)

 

経営のコツ

■レセプト件数ベースとオンライン資格確認件数ベースについても抑えておきましょう。

①レセプト件数ベース利用率
マイナ保険証の利用者数の合計 ÷ レセプト枚数

 

② オンライン資格確認件数ベース利用率
 マイナ保険証の利用件数の合計 ÷ オンライン資格確認等システムの利用件数

 

この差は、同月内に同じ人を複数回カウントできない利用者数と、同じ人を複数回カウントできる利用件数の違いになります。マイナ保険証利用を一度でもして貰った患者さんは、同月内にも複数回できるかと思いますので、②の方が数値は高く出やすくなると思われます。

 

 

経営のコツ

■届出について

すでに医療DX推進体制整備加算の届出をしている薬局が、基準に届かなかった場合に届出の取り下げは不要です。例えば、医療DX推進体制整備加算の届出を出されている薬局で、10月に基準を満たせなければ、この加算は1か月間取れず、11月に基準満たせば該当する点数を1か月間取るということになります。いずれにしても、一か月毎のマイナ保険証利用率は注視してみていくことは必要となります。

 

2.国の方向性(DX)について

マイナ保険証利用率を医療DX推進体制整備加算に繋げてくる理由を掘り下げます。

出典 厚生労働省 
 

 

国のデジタル推進は、医療介護全般についての共有ができるプラットホームを創ることにあり、2030年までに上図を完成させることを目標に掲げられています。デジタルが推進することで、利便性や実益、行政側の間接コストの低減も見込まれます。そして、この図の中心にマイナポータル(マイナンバー保険証)があります。つまり、マイナ保険証利用率を上げることは、国にとって、デジタル推進の1丁目1番地の施策です。また、相当程度の税金もつぎ込んでいるため今更後戻りもできないのです。

つまり、薬局や医療機関は今後も、マイナ保険証利用率を高めることを調剤報酬や診療報酬で誘導されていくものと思われます。

 

3.マイナ保険証利用率を上げるノウハウ

コンサルタントとして、色々な店舗にお邪魔しているとマイナ保険証利用率が高い店舗にはいくつか特徴があるように思います。そこでの話を一部まとめました。

まず、利用率が高い店舗の一番の特徴は「患者さんへの声掛け」を徹底されていることです。掲示物や、チラシの配布なども効果ありますが、利用率向上に圧倒的に効果が大きいのは「患者さんへの声掛け」です。

さらに、声掛けの際にも工夫がある店舗があります。

マイナンバーカードもしくは保険証をお持ちですか?」ではなく、「マイナンバーカードお持ちですか?」と患者さん回答の選択肢を絞った問いかけで話しかけています。その先のトーク作法もあり、マイナンバーカードを持っていない人には、「次回は持ってきてほしいです」などそこで話を終えない工夫もされています。

ちなみに、厚生労働省が公表しているトークスクリプトは以下の通りです。

出典:厚生労働省

利用率が高い店舗は、上記の流れに沿ってご対応されている印象があります。

もちろん、患者さんにはマイナンバー反対派もいるため、断られることも多いようです。そのため、話し掛けて断られるのが当たり前であり、断られても凹まない気持ちで接するようにされているようです。

まとめると、店舗のアクションとしては、「不特定多数に、心を強く持ち、声掛けで少しずつ相手を変えて行く」ということを地道に継続されている店舗の利用率が高いです。

 

また、違う視点、組織(会社や店舗)での特徴もあります。

店舗の誰もがわかるように、組織として見える化をしているのも特徴です。カレンダーに毎日の利用実績をメモしている場合や、朝礼で利用率の数値を共有しているなど数値へのこだわりが見えてきます。ネガティブなこと(お叱りを頂いた患者さん等)の情報も、レセコンでポップアップが出るようになど、次の声掛けしない工夫もされています。

使えるノウハウがありましたら、是非ご自身の店舗で活用してみてください。

 

 

  EM  

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著者紹介

鈴木 素邦 有限会社クラヤ代表取締役 城西大学薬学部非常勤講師

1980年生まれ、千葉県出身。城西大学薬学部卒業と同時に薬剤師免許取得。新卒で薬剤師国家試験対策予備校の薬学ゼミナールへ就職。主に、「疾病と治療」を担当する講師として、東京大学など全国32大学の出張講義で教壇に立ち、大手企業製薬企業20社以上から研修依頼なども受け、短時間でわかりやすく伝わる話し方で人気を集める。27歳で管理職に昇進。マネジャー職に苦戦するも在職中に経営学修士(MBA)取得で業績が大きく向上。薬剤師合格率(20部署中)1位を予備校始まって以来初の3年連続達成。営業成績も20部署中1位達成。3万人以上の薬剤師を世に送り出す。家業事業承継の関係でやむなく薬学ゼミナールを退職し、3代目不動産会社社長に就任。

新規事業として、薬局薬剤師の経験を経て、専門部署を持てない中小薬局向けのコンサルティング会社を立ち上げ、「お客様の思いをカタチに」をモットーに中小薬局経営者の右腕になれる存在を目指している。特に、ゼロからの地域支援体制加算の算定、BCP作成、個別指導サポートは、1店舗経営からも喜ばれるサポートとして好評。大手企業向けとしては、マネジメント研修なども手掛ける。

書籍:その1錠が寿命を縮める薬の裏側
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