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【ついに!?始まった選定療養】いまさら聞けない!長期収載品の選定療養

2024.10.10

 

今年は、調剤報酬改定から始まり変化の激しい1年になっています。調剤報酬改定と同じくらいのインパクトのある「長期収載品の選定療養」について、良く質問を頂くことをまとめました。

このコラムを読むと

選定療養の理解が深まります。

 

【目次】

  1. (1)長期収載品の選定療養
  2. (2)2024年から始まった加算「特定薬剤管理指導加算3」と「選定療養」の記録

 


(1)長期収載品の選定療養

長期収載品の支払いがどのようになるのか下図にまとめました。

著者作図

大きく「従来通りの保険給付」、「選定療養の対象」、「生活保護者への対応」の3区分にわかれます。

それぞれ確認していきます。

まず、医療上必要に関しては、以下のパターンがあります。

効果効能に差がある
長期収載品のみ適応がある場合等

副作用が発生
後発にしたら副作用発生

相互作用や治療効果に差
後発で相互作用や治療効果に差がる

ガイドライン推奨
ガイドラインに先発推奨と記載
(てんかんの薬等)

【薬剤師判断OK】
後発剤形飲みにくい
(注意)
患者の剤型好み、使用感は含まず

【薬剤師判断OK】
吸湿性や配合変化で一包化不可
(注意)
患者の剤型好み、使用感は含まず

 

薬剤師判断OKのものは、疑義照会を必要とせずに、「治療上必要あり」とできます。なお、次回以降のために、処方元には情報提供はすることは必要です。

 

長期収載品を患者さんがご自身の嗜好で選択する場合は、薬局で選定療養に説明をすれば、1回は特定薬剤管理指導加算3(ロ)を算定することができます。この場合は、ジェネリックに切り替わらなくても算定可能です。

 

対象とならない長期収載品については、先発医薬品以上にジェネリックが高額の薬価の場合などが挙げられます。「ロキソニン錠60㎎」もその一つであり、良く処方されている薬の中に長期収載品とならないものも一部ありますのでご注意ください。インターネットで「選定療養チェッカー」と検索すると、医薬品毎に調べることができますので、必要な場合は確認をしてみてください。

 

生活保護の患者さんについては、患者さんの嗜好で長期収載品の利用は原則できません。

著者作図

上図のように、長期収載品が処方されていても、医療上の必要性が無い場合は、後発医薬品調剤となります。

今回の選定療養開始に伴い、医療上必要なケース以外は後発医薬品を使うことと定められました。

 

経営のコツ

■ジェネリック利用率

薬局としてはジェネリック利用率をあげる絶好の機会です。選定療養の長期収載品を好む患者さんを事前にピックアップしましょう。患者さん個別に時間をかけて説明することで、ジェネリック利用率は、数%上げられる可能性があります。

 

 

(2)2024年から始まった加算「特定薬剤管理指導加算3」と「選定療養」の記録

調剤報酬改定や選定療養が今年からは始まり、ルールについてごちゃごちゃされている方もいると思いますので、薬歴記入とレセプトコメントについてクリアにしました。

 

薬歴

レセプトコメント

特定薬剤管理指導加算3(イ)(RMP

必要

不要

特定薬剤管理指導加算3(ロ)(選定療養)

必要

不要

特定薬剤管理指導加算3(ロ)(出荷停止関係)

必要

必要(医薬品名記載)

長期収載品の選定療養除外
①    医療上の必要性があると医師又は歯科医師が判断したため(処方箋の「変更不可(医療上必要)にチェック有の場合」)
②    剤形上の違いにより、長期収載品を調剤する必要があると薬剤師が判断したため
③    後発医薬品の在庫状況を踏まえ、後発医薬品提供することが困難なため

 薬歴記入は、明確な指示なし

 ②は、処方元に情報提供必要

  必要

 

経営のコツ

■特定薬剤管理指導加算3(ロ)出荷停止関係

出荷停止関係で別メーカーの薬に変更や先発医薬品へ変更すると、点数を算定することができます。

注意して頂きたいのは、「選定療養除外の理由」で、「後発薬が薬局に無いこと」で除外できますが、こちらの場合は、流通の問題は関係なく、薬局に後発薬を置いているか、否かで判断することになりますので、『特定薬剤管理指導加算3(ロ)出荷停止関係』とはわけて判断できるようにしましょう。

 

今日は選定療養について、細かいところに焦点をあててコラムを書きましたが、それでもどこに確認して良いかわからない場合は、気軽に弊社の無料相談口からお尋ねください。

お問い合わせ先:https://kuraya-s.jp/otoiawase/ 

 

  EM  

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著者紹介

鈴木 素邦 有限会社クラヤ代表取締役 城西大学薬学部非常勤講師

1980年生まれ、千葉県出身。城西大学薬学部卒業と同時に薬剤師免許取得。新卒で薬剤師国家試験対策予備校の薬学ゼミナールへ就職。主に、「疾病と治療」を担当する講師として、東京大学など全国32大学の出張講義で教壇に立ち、大手企業製薬企業20社以上から研修依頼なども受け、短時間でわかりやすく伝わる話し方で人気を集める。27歳で管理職に昇進。マネジャー職に苦戦するも在職中に経営学修士(MBA)取得で業績が大きく向上。薬剤師合格率(20部署中)1位を予備校始まって以来初の3年連続達成。営業成績も20部署中1位達成。3万人以上の薬剤師を世に送り出す。家業事業承継の関係でやむなく薬学ゼミナールを退職し、3代目不動産会社社長に就任。

新規事業として、薬局薬剤師の経験を経て、専門部署を持てない中小薬局向けのコンサルティング会社を立ち上げ、「お客様の思いをカタチに」をモットーに中小薬局経営者の右腕になれる存在を目指している。特に、ゼロからの地域支援体制加算の算定、BCP作成、個別指導サポートは、1店舗経営からも喜ばれるサポートとして好評。大手企業向けとしては、マネジメント研修なども手掛ける。

書籍:その1錠が寿命を縮める薬の裏側
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