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電子カルテ運用のポイント~㉒特定薬剤治療管理料~

2024.11.08

 

前回は、医師による患者指導や医学的管理そのものを評価する診療報酬項目の「悪性腫瘍特異物質治療管理料」において、単に指導を行ったのみでは算定できないことやカルテ記載の必要性を記載させて頂きました。

本稿では、引き続き医学管理料であり、医療機関様からのご質問と行政指導のご指摘も多い「特定薬剤治療管理料」のカルテ記載を中心にお伝えしたいと思います。


 

【目次】

  1. Point1: 対象患者
  2. Point2: カルテとレセプト記載
  3. Point3: 厚労省 保険診療確認事項リスト
  4. Point4:特定薬剤治療管理料1の算定について

 


1.Point1: 対象患者

【特定薬剤治療管理料1】

(1)テオフィリン製剤を投与している患者

(2)不整脈用剤を投与している患者

(3)ハロペリドール製剤又はブロムペリドール製剤を投与している患者

(4)リチウム製剤を投与している患者

(5)免疫抑制剤を投与している患者

(6)サリチル酸系製剤を投与している若年性関節リウマチ、リウマチ熱又は関節リウマチの患者

(7)メトトレキサートを投与している悪性腫瘍の患者

(8)アミノ配糖体抗生物質、グリコペプチド系抗生物質又はトリアゾール系抗真菌剤を投与している入院中の患者

(9)イマチニブを投与している患者

(10)シロリムス製剤を投与している患者

(11)スニチニブを投与している患者

(12)治療抵抗性統合失調症治療薬を投与している患者

(13)ブスルファンを投与している患者

(14)(1)から(13)までに掲げる患者に準ずるもの

【特定薬剤治療管理料2】

サリドマイドレナリドミドポマリドミドを投与している患者

 

2.Point2: カルテとレセプト記載

カルテ 特定薬剤治療管理料1は、カルテに添付または記載。
    特定薬剤治療管理料2は、カルテ等に記録。

【特定薬剤治療管理料1のみ】
 薬剤の血中濃度
 ⇒ 検歴(検査結果所見記録等)については「診療録」とは見なされませんので、
   医師記載の「2号紙」(医師が記載する部分)に記載されている必要があります。
 ⇒ 薬剤の添付文書で注意喚起されているものがあります。*1

【特定薬剤治療管理料1・2共通】
 治療計画の要点
 ⇒ 指導内容、次回の検査予定項目名、次回受診日等

 

1 例)テオフィリン徐放錠 添付文書

1 .慎重投与 (4)うっ血性心不全の患者、 (5)肝障害のある患者
 血中濃度が上昇することがあるので、血中濃度測定等の結果により減量する

2 .重要な基本的注意
(1)  テオフィリンによる副作用の発現は、テオフィリン血中濃度の上昇に起因する場合が多いことから、
  血中濃度のモニタリングを適切に行い、患者個々人に適した投与計画を設定することが望ましい。

  

レセプト

【特定薬剤治療管理料1】
 請求の際は、該当する投与のレセプトコード()()を選択し、記載する。
 また、初回算定年月日を記載する。*2

2 次の場合は、初回算定年月日の記載を省略して差し支えない。
4月目以降の特定薬剤治療管理料1を算定する場合
・抗てんかん剤免疫抑制剤の投与患者に対する特定薬剤治療管理料1を算定する場合

 

【特定薬剤治療管理料1 次の加算を算定の場合】
・臓器移植加算 レセプトコード850100049 臓器移植年月日を記載する。
・注9加算 レセプトコード830100058 ミコフェノール散モフェチルの血中濃度測定の必要性を記載する。
・注10加算 エベロリムスの初回投与~3月の間
 レセプトコード850100050 エベロリムス初回投与年月日
 レセプトコード830100059 エベロリムス血中濃度測定の必要性 を記載する。

 

3.Point3: 厚労省 保険診療確認事項リスト

(請求の誤りが起きやすく、個別指導の指摘の機会が比較的多い事項)
      https://www.mhlw.go.jp/content/001113814.pdf

 

特定薬剤治療管理料1・2共通

医師のオーダーによらず、[ 請求事務担当者の判断で・自動的に ]算定している。

特定薬剤治療管理料1

[ 薬剤の血中濃度 ・ 治療計画の要点 ]について診療録への[ 添付・記載 ]が [ ない・個々の患者の状態に応じた記載になっていない・不十分である ]。

□初回月ではないにもかかわらず、初回月加算を算定している。

□血中濃度を測定している薬剤名等及び初回の算定年月が診療報酬明細書に記載されていない。

 特定薬剤治療管理料2

□抗てんかん剤又は免疫抑制剤の投与を行っている患者以外の患者について、4月目以降について減算していない。

指導内容の要点について診療録等への記録が[ ない・個々の患者の状態に応じた記載になっていない・不十分である ]。

 

4.Point4:特定薬剤治療管理料1の算定について

①月2回以上血中濃度を測定しても月1回限り算定する。

②てんかん患者で、2種類以上の抗てんかん剤投与は、例外で月2回限り算定できる。

③次の場合は、それぞれ算定できる。
 別の疾患に、別の薬剤を投与した場合
 同一疾病の患者に、同一ではない区分の薬剤を投与した場合

4月目以降 100分の50について
 4月目とは、暦月で計算する。
 例)初回 415日の場合 
   4月目以降は、71日~。

⑤初回月加算
 別の疾患に別の薬剤を投与した場合、それぞれ算定できる。
 (臓器移植後の加算,バンコマイシン複数回測定の加算 算定者は、初回月加算は算定できない)

⑥血中濃度測定,採血料,投与量に係る管理費用は、別に算定できない。

 

 

 カルテ記載については、医師法第24条で「医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。」と記載をされています。診療のその場でカルテ記載が望ましいですが、その場での記載が困難であった場合は、遅くとも「一両日中」に記載いただくことが望ましいかと存じます。

※行政指導等において、遅滞なくの解釈は基本的に「一両日中」とされています。

 

  EM  

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筆者:株式会社ウォームハーツ

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