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【特集】令和6年度診療報酬改定 「外来③」

2023.12.12

11月10日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)の総会では「外来」についての3回目の議論が行われました。主に「外来機能の分化」「医療DX」「かかりつけ医機能」「時間外対応加算」「特定疾患療養管理料」などの各項目について課題と論点が示されています。

【目次】

  1. 外来機能の分化
  2. 医療DX
  3. かかりつけ医機能に係る評価
  4. 時間外対応加算
  5. 特定疾患療養管理料
  6. かかりつけ医関連点数の併算定

関連コラム「外来②」は こちら ⬅

関連コラム「外来①」は こちら ⬅


1.外来機能の分化

令和4(2022)年度診療報酬改定では、紹介状なしで受診した患者から定額負担を徴収する義務がある医療機関の対象範囲の見直しが行われました。また、定額負担額についても、保険給付範囲および定額負担額等が変更されました。

2022年5月と2023年5月を比較すると、初診時に紹介状なしで受診した患者の割合は義務化対象施設で4.3ポイント減少しているとしています。現在、紹介受診重点医療機関として、2023年10月1日時点で930施設が公表されており、そのうち110施設は、200床未満の特定機能病院または地域医療支援病院以外の病院、診療所となっています。

そのような状況を受けて、次期改定では、外来機能の分化・連携を更に推進するために、義務化対象範囲のさらなる拡大が検討されています。

2.医療DX

「医療DX」については、全国医療情報プラットフォームの構築や電子カルテ情報の標準化を進めるとし、標準規格化(HL7FHIR)された3文書(診療情報提供書、退院サマリー、健診結果報告書)、6情報(傷病名、感染症、検査、処方、アレルギー、薬剤禁忌)の情報共有するための仕組みが示されています。

今後、医療DXを推進する観点から、患者自身による自らの医療情報の活用(PHR等)するための基盤構築の促進が検討されています。

 また、デジタル庁の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」において、院内掲示のデジタル化や、民間PHRサービスの利活用の促進、書面のデジタルでの提供等を推進することが示されています。現在、患者への説明や書類の交付は、入院診療計画書、生活習慣病管理料における療養計画書などを用いて説明を行うことが診療報酬において定められています。

 そこで、2023年改正医療法によって、かかりつけ医機能を持つ医師には文書により患者に対して適切な説明を行うことが努力義務とされていることを踏まえ、デジタル化された文書交付等による患者への適切な説明を推進するための方策が検討されています。

3.かかりつけ医機能に係る評価

かかりつけ医機能については、「地域包括診療料・加算」や「機能強化加算」を届け出ている施設の方が、かかりつけ医機能を有している割合が高い実態があるものの、地域包括診療料・加算の届出のある施設においても「サービス担当者会議」の参加割合は5割強に留まっており、医療と介護のさらなる有機的な連携が求められている中で、主治医と介護支援専門員(ケアマネージャ)双方向のコミュニケーションを促すための方策が検討されています。

また、医療DXの推進により、全国で医療情報が共有されるプラットフォームが構築される中、今後の高齢者や認知症患者が増えることを踏まえて、かかりつけ医機能をより強化するための診療報酬上の評価が検討されています。

4.時間外対応加算

時間外対応加算は、診療所の時間外の電話対応等を評価するものですが、近年ICTを活用して時間外の患者の相談に対応するサービスが出現しており、このようなICTを活用した新たな取組みに関し、時間対応加算としての評価の在り方が検討されています。

また、「小児かかりつけ診療料」の算定の有無にかかわらず、小児科クリニックの約8割で「24時間対応を行うことが難しい・負担が大きい」と回答しています。その現状を受けて、小児かかりつけ診療料など、小児のかかりつけ医機能の評価と時間が対応の関係性の見直しが検討されています。

5.特定疾患療養管理料

「特定疾患療養管理料」を算定している医療機関が有しているかかりつけ医機能は、機能強化加算及び地域包括診療料・加算の届出がある医療機関より、全ての項目において該当している割合が低かったという調査結果が報告されました。具体的には、特定疾患療養管理料を算定している医療機関のうち、30.2%は時間外対応加算、44.2%は在支病・在支診を届け出ていないとしています。

一方、「生活習慣病管理料」で詳細な療養計画書の作成と計画書を用いた患者への説明が求められているものの、特定疾患療養管理料は生活習慣病の患者が多いにもかかわらず、療養計画書の作成は要件化されていないことが問題視しています。そこで、今後の生活習慣病患者の増加に対して、効果的・効率的な疾病管理および重症化予防の取組推進の観点から、生活習慣病に係る診療報酬上の療養指導の評価の見直しが検討されています。

出典:中央社会保険医療協議会総会(2023.11.10,厚労省)

6.かかりつけ医関連点数の併算定

現在、かかりつけ医機能に係る評価である地域包括診療加算、小児かかりつけ診療料、機能強化加算、生活習慣病管理料、特定疾患療養管理料、外来管理加算については併算定が可能な組合せが存在します。具体的には、特定疾患療養管理料と外来管理加算、地域包括診療加算は併算定可能、生活習慣病管理料と外来管理加算と特定疾患処方管理加算の併算定が可能となっています。実際に、地域包括診療料加算の算定した同日に特定疾患療養管理料を算定している割合は90.9%、生活習慣病管理料を算定した同日に外来管理加算を算定している割合は94.6%、特定疾患療養管理料を算定した同日に外来管理加算を算定している割合は89.4%と高い割合となっています。

この状況を受けて、地域包括診療加算、特定疾患療養管理料、外来管理加算、生活習慣病管理料等の評価について、それぞれの診療報酬上の評価の趣旨を踏まえ、併算定の関係についての見直しが検討されています。

出典:中央社会保険医療協議会総会(2023.11.10,厚労省)