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令和6年度診療報酬改定 疑義解釈③

2024.05.17

 

 4月26日に令和6年度診療報酬改定の「疑義解釈のその③」が通知されました。疑義解釈は、改定内容の不明点を医療機関から募り、それに対して考え方を明らかにするものです。
今後、随時通知されていきます。今回提示された疑義解釈の③の中から、クリニックに重要なものを選んで解説します。

【目次】

  1. 時間外対応加算
  2. 地域包括診療加算、地域包括診療料、生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)
  3. 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料
  4. 通院・在宅精神療法
  5. ベースアップ評価料


1.時間外対応加算

 時間外対応加算については、今改定より1~4の4段階評価に変更されていますが、患者からの連絡方法について疑義が出されています。「時間外対応加算において、患者からの電話等による問い合わせに対応する体制が求められているが、ビデオ通話による問い合わせに対してビデオ通話で対応する体制でよいか」という質問について、「よい」と回答しています。

 

2.地域包括診療加算、地域包括診療料、生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)

 地域包括診療加算および地域包括診療料、生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の施設基準では、「患者の状態に応じ、28日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であること」について、院内の見やすい場所に掲示していることが求められています。前々回に出された疑義解釈①の内容に加え、「当院では主に院内処方を行っています」又は「当院では主に長期の投薬をご案内しています」といった内容を併せて院内掲示してもよいかという問いに対して、「差し支えない」と回答しています。

 

3.在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料

 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料の情報通信機器を用いた指導管理が、今改定より正式に認められましたが、「CPAP 療法を開始したことにより睡眠時無呼吸症候群の症状である眠気やいびきなどの症状が改善していることを対面診療で確認した場合に実施すること」とされているが、他医療機関でCPAP療法を開始した患者が紹介された場合の取扱いについては、「指導管理を実施する保険医療機関において、CPAP 療法を開始したことにより睡眠時無呼吸症候群の症状である眠気やいびきなどの症状が改善していることを対面診療で確認した場合に算定可能」としています。
 なお、診療に係る初診日およびCPAP療法を開始したことにより、睡眠時無呼吸症候群の症状である眠気やいびきなどの症状が改善していることを、指導管理を実施する医療機関が対面診療で確認した日を診療録(カルテ)および診療報酬明細書(レセプト)の摘要欄に記載することを求めています。

 

4.通院・在宅精神療法

 通院・在宅精神療法について、今改定より「通院・在宅精神療法を算定するに当たっては、診療録および診療報酬明細書の摘要欄に当該診療に要した時間を10分単位で記載すること」とされています。具体的な記載方法について、 診療に要した時間に応じて、それぞれ以下のものから選択して記載することを求めています。

・5分を超え10分未満
・10分以上20分未満
・20分以上30分未満
・30分以上40分未満
・40分以上50分未満
・50分以上60分未満
・60分超

 ただし、これまでと同じように30分または60分を超える診療を行った場合で、診療に要した時間が明確でない場合は、「30分超」又は「60分超」と記載しても差し支えないとしています。なお、これに伴い「疑義解釈資料①」問198は廃止するとしています。

 

5.ベースアップ評価料

  新設した医療機関において、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)などを算定する場合、対象職員に対する給与の支払い実績は必要かという問いに対して、必要と回答しています。なお、ベースアップ評価料(Ⅰ)については、届出前の最低1月における給与の支払い実績が必要とし、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)については、届出様式における「前年3月~2月」「前年6月~5月」「前年9月~8月」「前年12月~11月」を、それぞれ「前年12月~2月」「3月~5月」「6月~8月」「9月~11 月」と読み替え、それら期間の給与の支払い実績が必要としています。

 また、医療機関の合併または分割等を行った際の取扱いについては、ベースアップ評価料の届出に当たり、原則として合併・分割等を行った後の医療機関における対象職員の人数および給与総額に基づくことと回答しています。ただし、合併・分割前の対象職員の人数および給与総額を合算・按分することにより、医療機関の実態に応じた人数および給与総額を計算できる場合には、そちらの人数および給与総額を用いて差し支えないとしています。

 ベースアップ評価料と政府目標(令和6年度+2.5%、令和7年度+2.0%のベースアップ)の関係については、施設基準において、その収入の全額を対象職員のベースアップ等およびそれに伴う賞与、時間外手当、法定福利費等の増加分に用いることが要件とされており、その上でさらに評価料以外の収入や、賃上げ促進税制などの活用により、政府目標の達成を目指すことが望ましいとしています。

 ベースアップ評価料による対象職員の賃上げに際して、「例えば現行の賃金水準が低い職員・職種に重点的に配分するなど、対象職員ごとに賃金改善額に差をつけてよいか」という問いに対しては、「差し支えない」と回答しています。

筆者:株式会社EMシステムズ EM-AVALON事務局

 

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