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対人業務をパワーアップ「印象を磨く」

2023.07.31

前回から2回にわたり薬剤師の「対人業務」のスキルアップについてお話します。

 

対人業務をパワーアップさせるためには、「伝え方」と双璧になる「印象」がとても大切です。

この2回シリーズは薬局業務だけでなく、日常の対人関係に役立つ内容でもあります。

他人の悪口を言っている人に、悪い印象を感じませんか?

ちょっとした工夫で飛躍的に印象が良くなる場合がありますので、いくつかコツをまとめます。

👆コラム内容について

対人関係(特に患者さんー薬剤師の服薬指導)での印象をよく思われる行動をまとめました。

 【目次】

  1. 見た目
  2. 態度・行動
  3. 非言語コミュニケーションを高める


(1)見た目

メラビアンの法則をご存じですか?

フリー素材より使用

第一印象に与える影響として視覚情報が55%であるという法則です。

視覚情報の中には、見た目や仕草、表情、視線などが該当します。薬局のイメージにもっとも関わりそうなことは、「衛生面」ではないでしょうか。トイレなどは多くの患者さん、お客さんが気にされますので綺麗にしておいてくださいね。

 

👆ポイント

・白衣の使い方

〜外来編〜

白衣の「白」のイメージをよく使えれば、清潔感(衛生面への配慮)、信頼感(医療のプロ)、威厳(専門的な医療従事者)、明るさ・広がり(整頓されているイメージ)などの効果があると言われています。特に、衛生面と直結する清潔感は大切です。だから、薬剤師、医療事務共に綺麗な白衣を必ず着るようにしましょう。

本人は気づきくいですが、患者さんからは白衣の袖(手首周り)の汚れがよく見えますのでご注意を!

薬局運営側は、白衣を週1回以上は、無料でクリーニングに出せる仕組みを用意する必要があるでしょう。

 

〜在宅編(患者宅)〜

患者宅へ訪問するときは、白衣を着て行かない方が良いでしょう。白衣の人が家に来ることを周囲の住人にみられたくない人が多いためです。白衣がユニフォームの薬局の場合は、在宅訪問時は色つきのスクラブやケーシーに変更するか、患者宅に入ってから着るのが良いでしょう。なお、施設内への在宅であれば、あまり気にされませんのでご安心ください。

 

 

(2)態度・行動

メラビアンの法則では、見た目が第一印象に影響を与えやすいと書きましたが、薬局に来る患者さんは慢性疾患の方が大部分です。第一印象も大切ですが、本当の印象は長期間をかけて醸成されていくものです。第一印象で仮に良かったとしても、「約束を守らない」「無責任な行動する」などは、悪い印象へと変わっていきますよね。

 

👆ポイント

・正直で誠実

当たり前のことですが、患者さんに正直で誠実であることが大切です。

そのためには、以下の言動が出ていないか確認してみましょう。

 

行動のチェック表

予定より遅れる場合、患者さんを待たせてしまう場合は、そのことをお伝えしていますか?

曖昧な会話で逃げて、知識不足をごまかしていませんか?

専門家の考えを強く伝えすぎたり、患者さんに同調しすぎたりするのではなく、患者さん中心に考えて言うことを変えていますか?

患者さんの話を良く聞き、専門用語を使わずに分かりやすい言葉で話していますか?

 

(3)非言語コミュニケーションを高める

非言語コミュニケーションとは、言語以外のコミュニケーションであり、積み重なると態度がつくられます。

著者作図

主には、視覚と聴覚からくる情報となっています。また、人の大多数は、行動に対する共通の見え方がありますので、ポイントにまとめました。

 

👆ポイント

・非言語コミュニケーションと印象

非言語コミュニケーションが患者さんにどのような印象を与えるのか確認しておきましょう。

 

行動

見え方

動作にメリハリがある

慣れている

声が大きい

元気で力強い

声が低い

落ち着きがある

ゆったりとした口調

理解を促そうとしている

ゆっくりとした動作

気持ちに余裕がある

笑顔

リラックスしている

ピンと張った背筋

信頼感がある

身振り手振りがある

想いがこもっている

 

・非言語コミュニケーションの注意事項

上表で紹介したものは、良い印象を作るものですが、患者さんの状態を考えないと逆の印象を与えることもありますのでご注意ください。例えば、早く薬が欲しい患者さんに、ゆったりとした口調で、ゆっくりとした動作で対応していると、悪い印象になってしまうかもしれません。

他にも、プライバシーを気にしている患者さんに、大きな声でどんどん話すと悪い印象になるでしょう。

相手の様子を見ながら、非言語コミュニケーションを使い分けてくださいね。

 

2回にわたり、対人業務をパワーアップ「伝え方を磨く」「印象を磨く」について解説しました。

これからは、薬局が対人業務をさらに求められる時代になるでしょうし、「患者さんを動かしてなんぼ」となるでしょう。印象が良くなければ聞きてくれないし、話し方が悪ければ伝わりません。薬剤師はたくさん服薬指導をする機会がある訳ですから、トレーニングの場として有効活用し、徐々に達人になってください!

なお、必要とされる対人業務については、以下の過去コラムもご参考にしてください。

 

 

著者紹介

鈴木 素邦 有限会社クラヤ代表取締役

薬学部卒業と同時に薬剤師免許取得。新卒で薬剤師国家試験予備校に講師として就職。講師業は年間100日以上、15年間で9000時間以上登壇。15年間受講者満足度は常に上位。短時間で最大限の情報を講義内容と話し方に評価を受け、東京大学など全国32大学への出張講義。武田薬品工業(株)、ファイザー(株)等大手製薬企業20社以上のMR研修講師へと幅を広げた。

27歳で管理職に昇進。自身の価値観を部下に押し付け、10人中5人の部下が退職や異動希望が出る状態になりどん底を味わうが、社内から顧客満足度を上げる伝え方を聞かれることが多くなり、人を動かすトークメソッド「ストーリーライン」を体系化。

薬剤師合格率(20部署中)1位を予備校始まって以来初の3年連続達成。学長賞(準MVP)を2回受賞、その他社内表彰多数受賞。20部署中6部署統括や、バックグラウンドの異なる200名を動かすプロジェクトマネージャーも担当するが、「ストーリーライン」を活用し、全国のメンバーのまとめ上げにも成功。薬剤師の輩出数は、3万人を超える。

高齢の親が経営する不動産管理会社を事業承継するため予備校をやむなく退職。事業拡大の準備として現場薬剤師を経験し、薬局向けのコンサルティング事業を開始。今までのやり方が通用しなくなってきている薬局業界を「ストーリーライン」を通じて、処方箋単価向上、処方箋枚数の増加、オンライン時代に向けた薬局の変革。好評となり、徐々に注目され、「薬局コンサル」でホームページ検索すると、上場コンサルティング会社(船井総研)と同様に1ページ目に出てくる知名度の会社となっている。

YouTubeチャンネル(薬剤師そほうの薬局経営塾)